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【CS版】BF(バトルフィールド)1 感想・レビュー

どうも、TRYDERです。

 

大作FPSのBF1が10/21に発売されました(デラックスエディションは3日前に先行販売)。トロコン(トロフィーコンプリート)するまで遊んだのでレビューしていきたいと思います。

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▲ PlayStation®で“つながる” | プレイステーション® オフィシャルサイトで見られるトロフィー取得状況の画面を切り取ったもの

 

多くのFPSプレイヤーの間では、現代や近未来という戦場に飽き飽きしていたことは事実だろう。現代の戦場はシステム化され、ハイテクで、小奇麗なのだ。CoDコールオブデューティ)やBF(バトルフィールド)といった大作FPSシリーズはWW2(第二次世界大戦)をテーマにして始まった。プレイヤー間でも原点回帰を叫ばれていたが、BFが選んだのはWW1(第一次世界大戦)。「全ての戦争を終わらせるための戦争」と流布され、戦車・航空機・潜水艦、現代に連なる兵器群を形付けた基礎とも言える時代だ。「古すぎる」と侮ることなかれ。そこには混沌と泥濘にまみれ、兵士たちに平等に与えられた“死”の戦場が君たちを待っている。

 

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WW1はFPSのテーマに成り得るか

BF1に登場する武器・ビークル・戦闘服は私たちの常識から考えると目を疑う物だが、常に新兵器等の投入が行われたこの時代に感じられる試行錯誤の跡は非常にバラエティに富んでおり、ユニークかつクールだ。現代のようなポリマー製の銃では無く、木製または鋳造ムラが見られる鉄製。登場したばかりの戦車は、形が定まってなく避弾経始の考えられていない鉄製の箱。戦闘服は華美な装飾が至る所に施されたファッション性豊かな制服だ。

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これらEA公式の出す動画を見れば分かる通り、当時の兵器に対するこだわりは尋常なものではない。しかしながら「行ったのは過去の再現ではない。過去からインスピレーションを得て、現代的に捉え直したのです」という言葉から分かる通り、FPSプレイヤーに楽しめる塩梅に調整されている。例えば、WW1で機関銃掃射によって無力化した騎兵は姿を消したが、このゲームにおいてはサーベルを振るい、敵の首を狩っていく畏怖の対象となっている。

このように、決してWW1というテーマは見劣りしないものになっており、むしろ新鮮さを感じさせる仕上がりになっているだろう。 

 

“死”を表現するための美麗なグラフィック

美麗なグラフィックという文句はゲームを褒める時の抽象的な常套句。その文言を見てゲームを買おうと決断するプレイヤーは少ないだろう。しかし、BF1はこの文言がピッタリと当てはまるゲームだ。木々が鬱蒼と生い茂る森、青々とした空と高原の緑とで二分されたアルプス、図らずも戦場になってしまった優美な王族たちの住まいなど、景色一つ切り取っても美しい。更には砲撃で地面が抉れて土が舞い上がる様や瓦礫の吹き飛び方、銃の鈍い光沢、愛銃に泥がまみれる表現にまで魅入られてしまうほど、今作のグラフィック及び破壊表現はマスターピースの一言だ。

 

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▲泥土に塗れた銃

 

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塹壕が広がるアルゴンヌの森

 

猛爆をもたらすモンスタービークル

本作のゲームモードは、シリーズお馴染みのコンクエスト、チームデスマッチ、ラッシュ、ドミネーションに加えてウォーピジョン及びオペレーションという新ルールが追加されている。

特に言及したいのはコンクエスト*1。今作がこれまでのシリーズと決定的に違う点は不利な側に巨大兵器が現れるということだ。飛行船・装甲列車・戦艦、それらが苛烈な砲撃をフィールド一面に行い始める。飛行船が登場した途端に地上から対空砲火が行われ、航空機が飛び交い叩き落されていく様相は嵐が訪れたようなものだ。BF4ではLEVOLUTIONというマップが大きく変化する要素があったが、今回の巨大兵器はその正統進化というべきもので、非常に素晴らしいエキサイト要素となっている。勿論、荒唐無稽な兵器ではなく実在していたものなのだから驚きだ。

 

よりFPSらしいFPS

歩兵の走る速度も増し、◯ボタン長押しで素早くリスポーン出来るようになったことから、より展開がスピーディになった。それに加えて、PC版ではお馴染みのFOV*2設定が可能になったことで、より素早く敵を捉えることが可能になった。また、固定機銃・戦車の主砲・戦車の機銃・航空機の挙動・航空機の副座機銃etcごとに感度を指定できるようになったことでより自分好みに近い操作感覚でプレイできるようになっている。よりFPSゲームらしいFPSゲームに近づいたのも今作の特徴だろう。

 

 

新しい試みに対して

FPSゲームとして意欲的な本作に従来のプレイヤーが批判することは多いだろう。銃声によってマップ上にプレイヤーの位置が表示されなかったり、戦車等に対してあまりに無力、スポットがしづらいといった意見が代表的だ。しかし、WW1においてもたらされる、平等で理不尽な死を上手くマルチプレイに落とし込んだバランスではないかと私は思う。

ビークルが強力故に、チームプレイを行わなければ対処できないし、その点において兵科ごとの役割分担は従来作よりも強い。更に、銃声がマップ上に表示されないことで強いプレイヤーのみが活躍することを抑止するとともに、隠密行動による戦略性も増している。

スポットに関しては私も思うところはあるが、BF4のようにとりあえず連打しとけば敵が見えるゲームでは無くなったことには一定の評価を与えたい。しかし、シビア過ぎてプレイヤーが認識出来ている敵にスポット*3が出来ないことがままあるのでそこは改善して欲しい。

 

マルチプレイにおける不満点

ここまで、手放しに評価をしてきたが、不満点が無いわけではない。

・ゲームバランス

ゲームバランス面から言えば、ガスグレネードが強力で、とりあえずこれを投げておけば手負いの敵が死ぬほどの威力。味方のか敵のものかも判別が付きにくいため突っ込んで死ぬプレイヤーも多いだろう。更にはガスマスク装着によって死を回避しても腰だめ射撃しか出来なくなるという強力な制圧効果を持っている。これに伴い、腰だめが得意な塹壕武器のアドバンテージが増してしまっているのはいい状況とは言えない。

 

・武器数

また、各兵科ごとに6種という武器数の少なさも目につく。10種程度の武器があったBF4に大分見劣りするので、これから予定されているDLCで更に増やしていってくれることを切に願いたい。

 

・ロード時間

極めつけはカップラーメンがアルデンテで出来上がるほどの非常に長いロード。マッチが始まるまで2分近くかかる。これには多少苛つくが、情報量の多いグラフィックで表現されたゲームであることの裏返しとしてまだ我慢出来るだろう。

 

マルチプレイと肩を並べたキャンペーン

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一人用のストーリーモード、キャンペーンにも注目したい。BFのキャンペーンはお世辞にもあまり良い出来ではなく、メイン料理に添えられるパセリ程度という認識が多かっただろう。その認識を払拭するために、キャンペーンに力を注ぎ始めたのは前作BFH(バトルフィールド:ハードライン)からだ。BFHでは海外ドラマのような構成や演出を行っており、途中から再開すると海外ドラマお馴染みの前回までのあらすじが差し込まれる。BF1でも同様にさながらドキュメンタリー映画や回想録のような筋立て演出になっている。

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▲異なる戦場に立つ5人の物語

テーマはマルチプレイ同様、戦場を支配する“死”だ。特に一番最初のプロローグとも言える鋼鉄の嵐では、プレイヤーが死ぬ度に操作していたキャラクターの名前と生誕年及び享年が表示される演出が行われ、無名の英雄たちが散っていく様を「これが戦場の現実なのだ」と言わんばかりに突きつけられる。これらの演出とテーマ性やストーリーはシリーズ屈指の出来であり、もはやキャンペーンをパセリと呼ぶことは出来ない。

 

しかし、手放しに褒めることが出来ないのも確かだ。この平等な死というテーマに反して、敵の要塞を一人で攻略したりとゲームの都合上もたらされるヒロイック的な展開が見られる。特に戦闘機や爆撃機をあらかた撃墜した後、飛行船に不時着、内部の敵を一掃して対空砲で敵機と他の飛行船を撃墜、崩落する飛行船から飛び降りて川から這い上がってくる一連の流れをプレイしている時は「またこれか」と思ったものだ。

 

とは言え、ゲームシステム自体を考えるとこの展開も頷ける。キャンペーンの展開はステルスアクションが多く、特に記されぬ言葉という章では広大な砂漠で指揮官を暗殺するというMGS5:TPPメタルギアソリッド5 ザ・ファントム・ペイン)を彷彿とさせるような舞台もある。精々、慎重に近づいて格闘してお終い程度のステルスだが、潜入する楽しさを取り入れたのも従来のキャンペーンとは違った趣向だろう。

 

まとめ

繰り返される量産系FPSに一石を投じたことのみならず、かつてない戦場体験を盛り込んだ本作はバトルフィールドというタイトルに相応しい出来だ。間断無い砲撃によって抉られる地形や崩落する家々、銃にこびりつく泥土を素晴らしいグラフィックと物理演算で表現し、WW1というテーマながらFPS界の最先端を進んでいるFPSといえる。是非、購入を勧めたい。

*1:コンクエスト―広大なマップに配されたいくつかの拠点を奪い合い、指定チケット数に達した側が勝ちというルール

*2:FOV―Field of Viewの略語で視野のこと。水平方向の視野を広げることで魚眼レンズのような視点になり、より敵を画面内に入れやすくなる

*3:スポット―敵プレイヤーに向けてスポットボタンを押すと、敵プレイヤーの頭の上に印が付き、マップ上にも位置が表示されるようになる