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SWBF2(スター・ウォーズ バトルフロント2) 感想・レビュー

どうも、TRYDERです。

 

圧倒的グラフィックと遊びやすさで『スターウォーズ バトルフロント2(略称:SWBF2)』に絶賛ドハマリ中です。

Star Wars バトルフロントII

課金関連について悪い意味で盛り上がっている本作ですが、ゲームクオリティ自体は相当良いものになっているのを感じますね。BF1譲りの超グラも更に進化しているようで、この度PS4Pro同梱版を買いましたらグラも読み込みもノーマルPS4と段違いです。正直、フレームレート関連とロード関連の恩恵がデカく金出した甲斐があったなと。

 

それはともかく『SWBF2』の感想と前作との違いを述べていきたいと思います。

 

緑茂るヤヴィン4の大寺院を行軍していると目端に何か明滅した。そちらに目を凝らすと、樹間に剣と形容するのが相応しい緑の光輝が見て取れる。次の瞬間、こちらへと疾駆してくるのは宇宙に、ミディ=クロリアンに祝福されたジェダイの姿である。こちらが撃つブラスターの光を自在に弾く姿は奇跡を明示されているようで、信仰の感情すら抱いていた。これから訪れる死は宇宙の祝福なのかもしれない。

(反乱同盟軍としてプレイ中のTRYDER)

映画『スターウォーズ』の世界を借りたEAが誇るFPS/TPSゲームスターウォーズ バトルフロント』シリーズは、映画内で舞台となった戦地で一兵卒としてプレイ出来るのが特徴。2017年11月17日に発売された最新作『SWBF2』は高精細なグラフィックとテクスチャで再現された映画世界で大会戦を味わうことが出来る。

さて、良くも悪くも話題となった本作だが、ゲームという純粋な要素を抽出したらそう悪いゲームではない。前作からどこが飛躍的に進化したのか述べてみたい。

 

プレイヤーの総意を正確に汲んで進化させた本作

前作最大の問題点はプレイヤーが一兵卒として遊んだことへのゲームからの報酬(リワード)とリプレイ性にあった。この項ではシステム面・アート面でプレイヤーの求める改良が行われたポイントを以下に列記していく。

 

機会性―全プレイヤーに主役となるチャンスを与える

一種のキャラゲーと言える本シリーズにおいて、無名兵士であるストームトルーパーを使い続けた報酬は欲しいものであるが、前作ではヒーロー及びビークルを使いたくとも運よくフィールドに配されたシンボルに触れることが出来ない限り使用することは出来なかった。

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▲前作『SWBF』ではヒーロー、ビークル等はフィールドピックアップを拾わなければアクセス出来ない

今作ではこのランダム要素を廃して全プレイヤーにチャンスを与えた。BFシリーズのようにチームに貢献すると獲得できるポイントを消費し、再出撃画面で好きなヒーローやビークルで出撃できるのは良い改良点。加えて、戦場に存在出来るヒーロー/ヴィラン数は敵味方一人ずつという縛りを撤廃したのも戦場に彩りを与えた。

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▲今作では再出撃画面からヒーロー、ビークル選択画面にアクセス可能。試合中稼いだバトルポイントを消費して使用できる。

 

カスタム性―唯一無二の兵士を作る

一兵卒のプレイにメリハリが無い点も前作の痛かった部分。同じEAが出しているBattlefieldシリーズの魅力は広大なマップで即席ながらも連携している気分を味わえる点であり、ロールを割り振る兵科システムの存在が大きかった。

前作では兵科が存在せずスターカードによるカスタムのみであった。スターカードとはスロットにアビリティ・武器を付与出来るカスタマイズシステム。CoDで例えると、perkと武器を統合して3スロットに配することが出来るという具合で、個々の戦闘能力を上げるに留まっていて連携に隔たりがあった。加えて、兵科を極めていくというマイルストーンも無いことから、戦闘で使うスターカード強化や武器解放程度しかリワードは存在しなかった。

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▲スターカードを3スロットにセットするシステム。真ん中がバリア等のアビリティ付与用でその他2つが追加ガジェット類のスロット。別途、“特性”という特殊アビリティスロットが右端に存在し、試合中にポイントを獲得してレベルアップする度に強力なアビリティが付与されていく。

今作ではアサルト(突撃)、ヘビー(援護)、オフィサー(支援)、スペシャリスト(偵察)の4つの兵科が追加された。Battlefieldシリーズほどの個性は無いがスターカードもこれに伴い大幅に増えてカスタム性が向上している。スターカード収集と強化への道なりが険しいのが、重大かつ深刻な欠点であるがこれは別途後述する。

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▲兵科特有のアビリティを持ったスターカードに変更された。絵柄の上にある色がスターカードの強化レベルで、クレート等で手に入るクラフトパーツで強化出来る。今回の議論の的の一つでもある。

 

ジャメヴュ―プレイをより新鮮に

キャンペーンが存在しない前作はマルチプレイ特化であったが、どれもルールとしては洗練されておらず退屈なものだった。上述した機会性・カスタム性の問題に加えて、長い試合時間の中でゲーム進行に抑揚が無いという問題だ。例えば、前作のモードである「ウォーカー・アサルト」は20分近い試合時間の中で、三回にわたって同じ目標設定をされるし、「ファイター・スコードロン」はただの戦闘機の撃ち合いだった。

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▲前作モード「ウォーカー・アサルト」。反乱軍側は通信システムを有効にし続け、帝国側はそれを妨害する形。全部で3フェーズ存在し、同じような撃ち合いを長時間続けないといけないため個人的には冗長なモード

今作ではそれら全てがリビルドされ、一連のストーリー性を持ったモードとなっている。前作の「ウォーカー・アサルト」に相当する「ギャラクティック・アサルト」を例に取ると、捕虜救出という背景を提示されてから「基地破壊工作(ラッシュ)」→「基地の侵入経路確保(コンクエスト)」→「脱出路を確保する味方を守る(ラッシュもどき)」のような複合的なゲームモードになっている。しかも、マップごとにこれらオブジェクティブや背景ストーリーも異なる。前作「ファイター・スコードロン」に相当する「スターファイター・アサルト」も同様だ。

▲前作「ウォーカー・アサルト」と異なり、3フェーズごとに目標も別だ。

プレイヤーに物語と動機を明示し、ゲームモードの組み合わせでフェーズが進むごとに異なったプレイフィールを与えるこの改良は賞賛に値すべき仕上がりだ。これによりリプレイ性が遥かに上がったように私は思う。

 

 

アート―カノン(正史)の世界に浸かる

前作のオリジナル・トリロジー(旧三部作)のみを舞台としたコンセプトはリプレイ性の欠如を引き立てる。ヒーロー/ヴィラン数の不足、ビークルの不足、旧三部作のみの採用によって生じる自然ばかりのステージ……これらはプレイを重ねる毎に既視感を生起していった。こういった全てを改善したのが本作だ。

▲前作は自然マップが多く、クローズドな戦闘が少なめで退屈だった。

詳しくは後述するが、凄絶なフォトリアルグラフィックから創出されるナブーでの戦闘は前作のプレイヤーが最も望んでいたものだ。旧三部作の直線的な美術造形と対照的な、新三部作の曲線的な美術造形の世界観を同時に味わえるのは充分プレイ理由となり得るだろう。それだけにプリクエル・トリロジー(新三部作)のヒーローが少ないのが気にかかるがDLCに期待したいところだ。

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キャンペーンモード―ep6とep7とを繋ぐ純然たるルーカスフィルム公認のカノン(正史)

待望のキャンペーンモードはルーカスフィルムが全面協力したスターウォーズフリークを大変満足させる内容となっている。また、数々の映画原作ゲーム開発を担当してきたVisceral Gamesが2017年10月に閉鎖されるまでキャンペーン開発に協力していたこともあってかムービーシーンもかなりシネマティック。

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クロスカッティングが用いられた本モードでは、メインの帝国軍特殊部隊コマンダー アイデン・ヴェルシオを話の中心に据えてルーク、カイロ・レン、レイア、ランドといった主役級キャラクターが登場するほか、エピソード8の布石になり得るストーリーであると明言されている点は関心を強烈に誘う。クリア後は尻切れトンボ感が否めないが、映画公開に合わせて無料で追加エピソードが配信されるのが救いだ。

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インペリアル級のグラフィック

スターウォーズ世界で“超弩級”という言葉を用いるならインペリアル級と呼ぶのが相応しく、そしてその称号は本作にこそ与えられるべきだ。本作をプレイすれば人工物から自然物までその卓越した精細なグラフィック・テクスチャに気づくだろう。同時にBattlefield1に近しい感覚が肌に触れ、Battlefield1で培ったDICEの技術が遺憾なく発揮されていることが分かる。DICEだけではない、Criterion GamesやMotive StudiosといったEAに属する複数のスタジオが参加しているのだ。

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▲協力会社及び参加スタジオ(公式ページ「Star Wars™ バトルフロント™ II」 - Star Wars - EA公式サイトより)

この実在感を補強するのは光反射表現(レンダリング)とテクスチャである。こういった情報量の付加に長けているのが、3次元物体を様々な角度から撮影して3Dモデルに起こし直す「フォトグラメトリ」という技術と、高精細に撮影したそれを再現する最新のFrostbiteエンジンなのだ。FrostbiteエンジンはBattlefield4までナンバリングを与えられていたが、新たにゲーム開発を行う度に進化し続ける同エンジンにもはやナンバリングは存在しない。

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▲『SWBF』の岩(上画像)と『SWBF2』の岩(下画像)。どちらもPS4proで動作。表面の質感と光の照り返しの情報量の違いが歴然だ。

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▲『SWBF』のホス(上画像)と『SWBF2』のホス(中・下画像)。どちらもPS4proで動作。前作ではのっぺりしていた雪が、今作では光反射表現が格段の向上したことにより雪の一粒を感じ取れる。

▲『SWBF』(上画像)と『SWBF2』(下画像)。どちらもPS4proで動作。人工物の質感も大分違う。

この進化し続けるエンジンで作られたEA最新作『SWBF2』は最高峰の情報量を与えられた正にインペリアル級グラフィックスなのだ。以下のスクリーンショットを見ればこれ以上言葉は必要ないだろう。

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最大の欠点―ルートボックスとアンロックのメカニクス

上述したように、前作の失敗に対してほとんど完璧に近い解答を示した本作であったが、ちょうどデス・スターの排熱孔の如く最大の欠点を抱えていた。「マップやサーバー選択が出来ない」だとか「マルチプレイ中にたまに約0.5秒停止することがある」だとか「ロードが長い」だとかは瑣末な欠点で、最大の欠点は課金メカニズムであるルートボックスである。日本ではソーシャルゲームが浸透し、当たり前のように採用されている労力短縮系ゲーム内課金だが、欧米ではその収益モデルは黎明期といった具合。だが、既に大規模パブリッシャーはゲーム内課金モデルを活発化させつつある。

その中でも今回『SWBF2』が槍玉にあげられたのは、『スターウォーズ』というネームバリューによる要因が一つ、マルチプレイに関わる武器・ヒーロー・スターカード等のアンロックまでの道のりが途方もなく設定されているという要因の二つだろう。

特にアンロックに関しては既に修正済みだが、当初では海外掲示板のユーザー集計によると、全コンテンツ解除まで4528時間(約6ヶ月)若しくは2100ドル(約24万円)かかるとし、その集金体制に批判が集中した。(参考ソース:Unlocking Everything in Battlefront II Requires 4,528 hours or $2100 | ResetEra

ヒーロー/ヴィランのみにフォーカスしてもアンロックまで6万クレジットが設定されており、一戦で約250しか獲得出来ないことを鑑みると40時間かかると海外メディアは推計しており、原作ありきのキャラゲーとしては疑問符が残る。(参考ソース:Star Wars Battlefront 2 heroes come at a substantial cost - Polygon

 

加えて、現在では機能を一時停止しているが課金要素であるクレートはいわゆる“ガチャ”でスターカードを解除していく方式であり、一般兵から果てはヒーロー・ビークルまでアビリティを付与するスターカードによる能力差がつきやすすぎるという意味合いで、“Pay to Win(金を払って勝つ)”と批判を受けた。

コミュニティ及びフォーラムからの強い批判を受けた現在ではEAの決定及びルーカスフィルムとの協議の末、これらの措置を一旦取り消したもののこの問題の波及は大きい。法制度等に関しては既にイギリスやベルギーではギャンブル性に対する議論が行われ始めている。

(参考ソース1:イギリス政府がビデオゲームの「ルートボックス」問題とギャンブルに対する声明を発表、政府は子供の保護を明言 « doope! 国内外のゲーム情報サイト

参考ソース2:ベルギー、『STAR WARS バトルフロント II』の調査を開始-ギャンブルに当る疑い | GameBusiness.jp

 

確かにプレイヤー間のアンフェアを誘う課金要素とアンロックは問題点であるが、この一点のみで本作を“クソゲー”と断じているゲーマーが散見されることには異論を投げかけたい。最後に本作の魅力と本質を捉えて欲しいと切に願い、このレビューの結びとしたい。

 

 

ソース

『スター・ウォーズ バトルフロント2』開発陣にインタビュー。キャンペーン&マルチ双方について気になる部分を直撃 - ファミ通.com

Star Wars Battlefront 2 takes Frostbite tech to the next level • Eurogamer.net