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Fortniteの魅力―FortniteはPUBGの代替品にすぎないのか

はてブロよ。私は帰ってきた。

どうも、TRYDERです。無事、資格試験を合格したので自由を謳歌しております。

 

先月は『サイコブレイク2』『アサシンクリードオリジンズ』『スーパーマリオオデッセイ』『グランツーリスモSPORT』といった大作から、今月は『SWBF2』『CoD:WW2』といった弩級FPSまでゲームラッシュは続き、2017年は大豊作だと実感しております。

そんな収穫祭とも呼べる月に資格試験を控えてしまった私は、一戦がさっくり終わるPUBG風味のフリープレイゲーム『Fortnite』を粛々と――いや、誘惑に負けて友達とガヤガヤプレイをしていたわけです。

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さて、『Fortnite』はPUBGのデベロッパーに「独自性のあるゲームを作りなさい」だとか言及されたのもあって、ネット民からもパクリゲーと揶揄されがちなゲームなのですが、私は明確に異なるプレイフィールを感じています。

今回はそんな『Fortnite』の魅力をお伝えしたいと思います。

 

バトルロワイヤルというジャンル

バトルロワイヤルはFPS/TPSをベースとしているのが大きな特徴で、PLAYERUNKNOWN氏が初めてリリースした『ARMA2:DayZ Battle Royale MOD』によって確立されたゲームモードだ。その名の通り、邦画『バトル・ロワイヤル』にインスピレーションを得て構築されたゲームモードで、今ではジャンル化している。

 

その辺りの経緯に関してはGame*Sparkの記事に譲るとする。

www.gamespark.jp

 

序盤で装備を整え、プレイエリアが縮小されるに連れ段々とプレイヤーが一同に会し、終盤の死力を尽くした戦いの流れはチームプレイに最適。最後の一人/一チームになるという目標は、隠れて戦闘を避けて漁夫の利を得るといった選択肢も有りであり、初心者でも立ち回り次第で勝ち目があるという点は競技性の高いFPSタイトルと比してもプレイ障壁を下げる一因となっている。

 

英語圏で広く認知されているバトルロワイヤルというジャンルの特徴は以下の通りである。

・最後の一人/チームになるまでプレイヤー同士で戦う

・一度倒されるとリスポーンは不可能である

・プレイヤーは任意の場所からゲームスタートすることが出来る

・ゲーム開始時、プレイヤーは武器及び物資を所持していない

・武器及び物資はプレイフィールド上にランダム配置されたもの、あるいは敵プレイヤーを倒して調達する

・プレイエリアは時間経過と共に縮小されていく

「最後の一人になるまで戦う」や「リスポーン不可」といったルールはとりわけFPSタイトルでは珍しいものでは無い。「サーチ&デストロイ」などはこの二点を満たしているのではないだろうか。

 

しかし、このバトルロワイヤルというモードは従来ルールとは異なり、広大なエリアでの大きな裁量をプレイヤーに委ねている。かと言ってゲームが崩壊するほどの裁量は与えず、徐々に戦闘範囲を狭めることで毎回エキサイティングな戦闘を演出することに成功しているのだ。このただ一点の制約以外はプレイヤーの行動選択次第で毎回異なった試合展開に変化するのも、人気の秘訣と言えるだろう。

 

 

乱立するバトルロワイヤルゲーム

この空前のバトルロワイヤルジャンルの時流を作り出したのは間違いなく『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(略称:PUBG)』だろう。

無論、『PUBG』以前にも PLAYERUNKNOWN氏が手がけた同様のゲームである『H1Z1』などは存在していた。しかし、PLAYERUNKNOWN氏が手がける最新作たる『PUBG』は前作をあらゆる意味で凌駕しているのだ。

www.youtube.com

というのも、『DayZ』をベースとしていた最初のバトルロワイヤルタイトルである『ARMA2:DayZ Battle Royale MOD』は『DayZ』自体の仕様もあってか死なない限り装備品は維持される方式であったため初心者との差異は出がちであった。また、それらを改善してよりカジュアルに仕上げたものが『H1Z1』であったのだがイマイチ奮わなかった。

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ところが、『PUBG』は毎日・毎週・毎月ペースでアップデートを行い、より遊びやすい場を作る心がけをしてきたということや、特に国内では「ドン勝」という奇妙な翻訳から知名度が高まったこと、高性能PCが安価で手に入る時代となったことも助け、動画サイト界で覇権を握りゲーマーへとその流れも波及していったのだろうと推測する。

 

このジャンルのスペシャリストであるPLAYERUNKNOWN氏に追いつき追い越せといった勢いで各社も類似タイトルをリリースし始めている。以下にPLAYERUNKNOWN氏が関わっていない類似タイトルの一端を列挙してみよう。

Fortnite

Grand Battle Royale

Infestation:The New Z

ISLANDS OF NYNE:BATTLE ROYALE

Last Man Standing

Rust: Battle Royale

The Culling

Unturned: Arena Mode 

 

etc...

後続作品も続々と乱立しており、中にはシューターとして開発されたタイトルにバトルロワイヤルルールを導入し始めるタイトルも珍しくない。今、最もホットなジャンルなのである。

 

 

中でも光るタイトル『Fortnite』

ここまではまるで、ロードが長いゲームを待っている間に表示されるTIPSのような前置きであったが、今回の本題は『Fortnite』だ。

 

Unreal Engine 4*1の開発元として知られるEpic Gamesが開発した『Fortnite』のbattle royaleモードは、9月26日にリリースされた。残念ながら日本では正式サービスを行っていない。

 

しかし、少々手間だが、北米アカウントを新規作成すれば遊べるので安心して欲しい。電ファミwikiに詳しく始め方が掲載されているため更に安心だ。

wiki.denfaminicogamer.jp

 

本作は『PUBG』プレイヤーならばすんなりプレイ出来るほど基本的な部分は共通している。空中から始まり、各人は任意の場所に落着し武器を調達、狭まる円に従って最後の一人になるまで戦闘を行うという形式だ。しかし、『Fortnite』の独自性はゲームシステムというよりも戦闘システムの独自性が強い作品である。

www.youtube.com

まず、初めてプレイして気づく決定的な差異はアメリカンコミックスのようなグラフィック表現を持つという点だろう。この表現方法は単に『PUBG』とは異なることを強調するためのものではなく、例えばダッシュすると土煙があがって遠くからの視認性が増したりなど戦略面で効果的に用いられているのだ。

 

そして、『Fortnite』を象徴する第二の特徴はクラフト要素

『Fortnite』ではゲームが始まると、プレイヤーは身一つで……というわけではなく等身ほどある鍬あるいはピッケルのようなものを持たされて放り出される。これは近接武器と素材調達の道具を兼ねたもので、例えば家の屋根に落着して鍬で屋根を壊して侵入、と同時に壊した屋根の素材である木材を入手出来る。このようにフィールドに配されたオブジェクトの大半は壊すことが出来、オブジェクトに応じて木・レンガ・鉄を入手可能だ。

入手した材料はクラフティングに用いられ、咄嗟の接敵時に急造の壁をクラフト、戦闘エリアが狭まりきった最終決戦で櫓のような拠点構築に用いる、地の利を得るため山に階段を架けて登頂するなど高い戦略性を秘めた要素に仕上がっている。

 

クラフティングのテイストは『fallout4』に近い。クラフトメニューへは◯ボタン、材質選択はL1ボタン、向き変更はR1ボタン、実行はR2ボタンと簡易な操作が出来るのは急な接敵時にも対応しやすい。また、作った壁に窓やドアを取り付けることも出来、スナイパーなどはこの窓から顔を覗かせるなど簡易的ながら汎用性の高い仕様になっているのも特徴だ。

▲クラフトメニュー。材質選択はL1ボタン、向き変更はR1ボタン、実行はR2ボタン

▲壁を建てると◯ボタン長押しで改良が出来る

▲上掲画像の真ん中を一つ選択すると窓を開けられる

▲真ん中下から2つを選択するとドアを作成出来る

 

第三の特徴は武器のレアリティ

『Destiny』のように金>紫>青>緑>白の順にレアリティが設定されており、レアリティが高いと攻撃力も高い。高レアリティ武器は滅多にフィールド上に落ちておらず、宝箱や救援物資といったリスクある場所に配されていることが多い。ランダム性が高すぎるという疑念を持つ読者もいると思うが、それも立ち回り次第だ。

『PUBG』でも拳銃しか無い状態でアサルトやらスナイパーを持った殺意満タンの相手に挑まないのと一緒で、高レアリティを持つ相手に対しては不利なので、立ち回りをステルス寄りにするか、漁夫の利を狙う立ち回りが要求される。

▲光っている色でレアリティが判断できる

 

最後に第四の特徴、それはマップの広さである。

『PUBG』では車を要するほど広大なマップではあるが、時にそれが冗長だと感じたことは無いだろうか。『Fortnite』ではマップがより手近な広さであり、最初からパラシュートを開く等の工夫次第で島のどこへでも落着出来るカジュアルさがある。乗り物は存在せず徒歩移動なので、車の燃料などを気にしなくていいのもカジュアル面が強調された仕様だと言えるだろう。

 

『Fortnite』の魅力と欠点

上述した特徴から『Fortnite』はカジュアルバトロワゲーと言えることが分かるだろう。マップも小さめで一戦も短い。加えて本作は無料だ。「PS4に『PUBG』が無いから代替品として…」という消極的理由ではなく、「『PUBG』が気になるけど肌に合うかわからない」「敷居が高そう」などといったバトロワジャンル初心者にこそプレイしてもらいたい。また、本作のクラフト要素は高度な駆け引きを誘引し、テンポも良いので、「さっくりやりたいけどただのパクリゲーは嫌だ」という『PUBG』ヘビープレイヤーにとってもオススメだ。

▲ドン勝した時の画像。対面に見える建築物は敵プレイヤーが構築したもの。各自、拠点を構築しながら高度な応酬が繰り広げられた。

最大の欠点は未だアーリーアクセスの段階でありサーバーが貧弱な点。大型アップデートが行われた際にログインに二分を要することがあったり、分隊を組めなかったりすることがある。ゲームモード面においてはデュオ(二人分隊)に相当するモードが実装されていないため、二人分隊では不利を強いられがちだろう。

 

また個人的な不満点として武器の少なさを挙げたい。カジュアルさを強調するが故なのかもしれないが、武器種の少なさを始め、アタッチメントをつけて状況に適応させたりといった適応性に関しては『PUBG』に一歩譲る。

 

二つ目の不満点としてもう少し街の作り込みを複雑にしても良いのではとも思う。これもカジュアル重視が故のものかもしれないが、家々が点在しすぎていて『PUBG』のような隠れんぼ感が若干薄いなと感じた。

 

また、根本的な話としてカジュアル重視のコンセプトを欠点に挙げる者もいるだろう。確かに『PUBG』のように広いマップでよりリアルな銃器を使ってリアルなサバイバルを望むというハードコアゲーマーの要求を満たすように作られてはいないが、これは開発元であるEpic Gamesが考える市場のターゲティング(顧客層絞込)によるものだ。

ここまで欠点含み色々と述べてみたが、「無料に勝るもの無し」というわけで実際にプレイして頂きたい。

 

まとめ―“パクリゲー”という烙印に疑問

PLAYERUNKNOWNことBrendan Greene氏は『Fortnite』に対し、

「ほかのゲーム会社でもバトルロイヤルジャンルに進出することができると思いますが、類似品ではなく、自分だけのオリジナリティを持ったゲームを開発してほしいです」

Bluehole,「PUBG」とEpicGamesの「Fortnite」の類似性について声明を発表 - 4Gamer.netより引用)

と言及。『Fortnite』開発元のEpic GamesUnreal Engine 4を『PUBG』に提供しているという事情から競合を懸念した発言であることは分かるのだが、自分としては承服しかねる意見である。

 

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バトロワジャンルの生みの親、Brendan Greene氏(画像は氏のtwitterより転載)

というのも、芸術が模倣から生ずるのと同様にゲームも模倣の歴史であるからである。

言ってみれば、狩ゲーの始祖たる『モンハン』から始まって『ゴッドイーター』『討鬼伝』『ソウルサクリファイス』と様々な個性あるタイトルが存在するのと同義であり、『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』からコマンド選択が生まれアドベンチャーゲーム界に広がっていったのと同義であり、時のオカリナで生み出されたZ注目システムが後のアクションゲームでロックオン機能として搭載されていったのと同義なのだ。

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▲「モンスターハンターシリーズ」も数々の競合作に晒されながら革新的な「狩りゲー」を再度形作った

そもそも論として、オリジナリティ云々というのであれば『ARMA』というインターフェースに邦画『バトル・ロワイヤル』の「戦闘エリアを限定」ないし「敵から武器を奪う」発想を組み合わせた『PUBG』に個のオリジナリティは存在しない。人はその組み合わせこそがオリジナリティというかもしれないが、それこそ『Fortnite』だってバトロワジャンルにクラフティングを組み合わせたオリジナリティあるゲームと言える。

 

ある一人が冒険心から行った試みが伝播して大航海時代が訪れたように、他社批判ではなくジャンルの先駆者として更なる創意工夫を行う姿勢を求めたいと感じた次第である。

 

さて、バトロワジャンル初心者の諸君も、『PUBG』ヘビープレイヤーの諸君もこの機会に『Fortnite』をプレイするのはいかがだろうか。

 

 

 

 

*1:Unreal Engine 4―Epic Gamesが開発したゲームエンジンの名前。大規模デベロッパーからインディーまで広く使われている。『ACECOMBAT7』『DQ11』『KH3』などの大作から『RUINER』『>observer』といった小規模開発作品までといったらその浸透度が分かるだろう