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再び「大きな賭け」の始まりだ!―グウェント ウィッチャーカードゲーム 紹介

 

 

ようこそ、いらっしゃいました。ノヴィグラドでのグウェント大会は……

……まあ、盛況のうちに幕を閉じました。さて、今大会の開催地はあなた方が住まわれる現実世界。

 

只今、正式な大会の開催に向けて予行を行っているところです。どうぞ、あなたも腕に自身がお有りならいかがですか?

参加費? 前回は賞金を設けたために痛い目を見ましたからね。無論、お取り致しません。

 

ハクション! では、お名前を。参加表を発行致します。

 

リヴィアの……ジェラートと。

 

茶番を演じてみました。どうも、TRYDERです。

 

今回はパブリックベータテストが始まったグウェント ウィッチャーカードゲーム(以下、グウェントWCG)について触れます。

カードゲームが苦手な私ですがグウェントならばと手を出し毎日シコシコと欠かさずプレイしております。

www.playgwent.com

グウェントとは言わずと知れた大作オープンワールドアクションRPG、ウィッチャー3のミニゲーム。それが単体でオンラインTCGになるというのだから触れない手は無いでしょう。

 

プラットフォームはPC/PS4/XboxONE。クロスプレイに対応しており、PC・PS4間、PC・XboxONE間での対戦が可能。

 

 

さて早速、激アツなカードゲーム、グウェントWCGを紹介していきましょう。では、始まります。

 

盛り上がるウィッチャー界

最近、一気にウィッチャー関連のニュースが噴出した。

まず第一に、Netflixでウィッチャーがドラマ化するというニュース。

参考記事:(Netflixが小説版「The Witcher」を原作としたTVドラマシリーズを制作中、原作者もプロジェクトに参加 | AUTOMATON

 

上記事を抜粋したものには興味深いものが含まれている。

NetflixのプレスリリースにてSapkowski氏が語るところによると、ドラマ版は「原作の内容・テーマに忠実」とのこと。ゲーム版『The Witcher』は小説シリーズの後日譚であるため、「ゲームはプレイしたけれど小説版は未読」という方にとっては、原作の物語に触れる絶好の機会となるだろう。

原作に忠実ということで、存分にウィッチャーワールドを堪能できるほか、ゲームの前の時間軸を描いたものであるため、ゲームプレイヤーならば一層楽しめるだろう。

Netflixは日本でも展開しているため、完成の暁には日本語字幕が付くことを期待したい。

 

第二に、原作小説第2弾が早川書房より刊行決定、「エルフの血脈」も新装版を刊行というニュース。

これまでは5つある原作長編小説の内、1作目の「エルフの血脈」しか日本語訳されていなかったが、この度、8月に2作目の「偽りの刻」が刊行される。

一層、ウィッチャーワールドを堪能出来る朗報が現れたと言えよう。

 

そして第三に、グウェントWCGが5/24よりパブリックベータを開始したこと。

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▲公式サイトよりイメージ画像転載(メディア - グウェント ウィッチャーカードゲーム

ウィッチャー3内のミニゲームであるグウェントがオンラインTCGとしてパブリックベータを開始した。ベータといっても課金も出来、正式稼働一歩手前と言っても過言ではない。今ゲーマーに開かれたばかりのこのゲーム、皆が初心者の今のうちにやらない手はあるまい?

 

 

ウィッチャーファンはプレイするべきか

結論から言えば、ウィッチャーシリーズのコアなファンであればあるほどプレイするべきである。

 

グウェントWCGにはウィッチャー3のキャラは勿論、ウィッチャー1でも登場したヤエヴィン(イェヴィン)やトルヴィエルやダゴンウィッチャー2に登場したイオルヴェスやサスキア、その他にも原作小説コミックに登場したキャラまで描き下ろされ、しかも日本語ボイスで喋る。

 

さらに正式稼働後充実したシングルキャンペーンモードも実装。

オンラインTCGでは異例のフィールド探索要素もある他、選択肢によって分岐する従来のウィッチャーと同じマルチシナリオを楽しめる。

尚、このマルチシナリオはウィッチャー3を手掛けたライター陣が手がけるものであり質の高いストーリーを楽しめるだろう。

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▲フィールド画面。 左上に1245年とあるのが見える。ウィッチャー1は1270年の話なのでゲラルトの過去を主軸とした話なのだろうか…

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▲拠点強化のような要素も垣間見える

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▲ウィッチャーではお馴染みのマルチシナリオも搭載

 

パブリックベータである今はシングルキャンペーンはプレイできないが、いずれ実装されることは確約されているので今のうちに腕を研鑽してウィッチャー3:グウェントとの違いを楽しむのも手だろう。 

 

グウェントとは

グウェントは大作オープンワールドアクションRPG、ウィッチャー3のミニゲーム

おまけ的要素のカードゲームだがこれがカルト的な人気を得て、ゲーム内の戦闘を全てグウェントに変更するMODが制作されたほどである。

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Hearts of Card at The Witcher 3 Nexus - Mods and community

 

グウェントの魅力はコンセプトにある。

 

もともとウィッチャー3:グウェントはカード集めを楽しんでもらうことを意図したものである。 しかも、ルールも洗練されている。

カードゲームをプレイしたいがためにウィッチャー3を買うプレイヤーがいるだろうか。そういったプレイヤーにグウェントをしてもらうには飽きさせないルール構築が必要だ。

 

つまり、勝利のためにすべきことが単純明快で、手軽に遊びやすいというのがこのゲームの特徴である。

今回リリースされたグウェントWCGの基本ルールはウィッチャー3のグウェントとほぼ変わらない。

 

 

基本ルールは単純

基本ルールは単純なものであるし、ゲームを起動した際のチュートリアルでゲラルトとシリから教えてもらえるが一応、以下にも列挙してみよう。

  • 各プレーヤーはラウンド終了時のカードの合計戦力を競う
  • 3ラウンド制で2ラウンド制したプレイヤーの勝利
  • デッキは25枚~40枚。「モンスター」「北方諸国」「スコイア=テル」「スケリッジ」「ニルフガード」のいずれかの勢力のカードと、どの陣営にも組み込めるニュートラル」カードを使ってデッキを構築する
  • 初期手札は10枚+リーダーカード1枚、2ラウンド目に2枚ドロー、3ラウンド目に1枚ドローの計14枚が自分の持ち手札
  • ラウンド毎にマリガン(引き直し)が出来る
  • 各プレーヤーは1ターンに必ず1枚のカードをプレイしなければならない
  • 1度パスをするとそのラウンド内ではカードをプレイできない
  • カードをプレイするフィールドは「近接」「間接」「攻城」の3つ。カードに記載されたフィールドにプレイする
  • 1ターンには1枚のカードしかプレイできない(※カードアビリティでのプレイを除く)
  • カードには「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」の枠色がついており、「ゴールド」カードに対するアビリティは無効化される

 

これでほとんど全てを説明しきったと言える。

要は数の大きい側が勝ちなのだ。

 

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▲実際のプレイ画面。UIも簡素で初見でも理解しやすい。百聞は一見に如かず。

 

ここでTCG経験者の方ならばお気づきかもしれないが、このグウェントというカードゲームには攻撃、カードコスト、ライフポイントといったTCG定番の要素が無い。

しかもラウンド制、TCGの中では特殊なスタイルだ。

 

何故、TCGの中でもグウェントは異質な存在なのだろうか。

一般的なTCGMtGマジック・ザ・ギャザリング)をベースにおいている。

対して、このグウェントは1枚ずつカードを出し合うトランプゲームの「戦争」をベースに、3列の概念があるボードゲームの「Condottiere」、カードアビリティ面ではTCGの「Netrunner」やボードゲームの「Neuroshima Hex」を参考にしている。

参照元:(【特集】PS4版も登場!『グウェント ウィッチャーカードゲーム』日本語版プレビュー&開発インタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

 

このようにトランプゲームの「戦争」にアビリティというTCG要素を加え、しかもデッキ枚数を25枚という少なめに設定することでデッキ構築力とプレイするカードの取捨選択が重要となり、「戦争」の問題点であった運要素を排した戦略性の高いTCGに仕上がっている。

 

 

ウィッチャー3:グウェントとの相違点

基本ルールはほとんど変わらないと言及したが、グウェントWCGでは何が進化しているのだろうか。

最大の相違点はやはり「アビリティ」の拡充だろう。よりカード同士の連携やシナジーが強化されTCGらしい応酬が可能となるゲームデザインが図られた。

 

例えば、ウィッチャー3:グウェントとグウェントWCG間で大きく異なったのは「おとり」というカード。

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▲左:ウィッチャー3における「おとり」、右:グウェントWCGにおける「おとり」 

ウィッチャー3:グウェントにおける「おとり」

→戦場のカードと交換し、手札に戻す。

 

グウェントWCGにおける「おとり」

→味方1体をあなたの手札に戻し、3ベースアップを与え、その後、そのユニットをプレイする。

ウィッチャー3グウェントの「おとり」は手札回収が主となる効果。対してグウェントWCGの「おとり」は回収後にプレイしなければならないので、次ラウンドに回収した手札を持ち越すといったことは出来ない。

 

このように各カードに新たなアビリティが付与されるとともに、勢力ごとの特徴も差別化され、より競技性が高く知力を尽くした戦いになるよう再調整されているのだ。

 

 

グウェントを彩る5つの勢力

ウィッチャー3のプレイヤーにはお馴染みの勢力もグウェントWCGには健在だ。

勢力の特徴を公式サイトより抜粋する。

ニルフガード:“ニルフガード”は、外交術と謀略を巧みに操ることで敵の戦略を妨げ、勝利を我がものとする勢力だ。敵陣に密偵を送り込んで破壊工作を行ったり、対戦相手の手札を公開したりする力を持つ。狡猾な策士が揃うニルフガードは、強力なユニットをピンポイントに無効化し、破壊することも得意とする。

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モンスター:「ウィッチャー」の世界には、人々の生活を脅かす怪物たちが溢れており、その多くが“モンスター”に所属する。怪物は天候の変化をものともしない。むしろ、厳しい環境で力を増すものまで存在する始末だ。怪物は“繁殖”と呼ばれる能力で数を増やし、群れを成して相手に襲い掛かる。数ではなく個の力が求められる場合は、仲間を喰らってその力を吸収することも。

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スケリッジ:“スケリッジ”の人々は、死に対して特別な価値観を抱いている。彼らは女司祭や医師の力を借りて、死者を墓地から生き返らせることができるのだ。“スケリッジ”では、わざとユニットを墓地に送り込むこともいとわれない。死者はより力を増して蘇るからである。またスケリッジ人は、敵から受けた傷を倍返しするすべを心得ている。傷を負うことで、それを怒りの力に変えるのだ。

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北方諸国: “北方諸国”は、その豊富な兵力を活用し、部隊を強化することで戦場を支配する勢力だ。北方の勇猛な指揮官はすすんで前線に立ち、ユニットを鼓舞して戦力を強化する。“昇進”カードによってゴールドカードに変化したユニットは、呪文や天候効果の影響を受けつけない。北方の優秀な衛生兵は、一度倒れた兵士を再び戦場に送り出す。

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スコイア=テル:“スコイア=テル”は、列を問わず展開可能なユニットを中心として構成され、相手の死角からの奇襲を得意とした機敏な勢力である。非人間族によるゲリラ部隊である彼らは、“伏兵”を使った戦法を多用する。“伏兵”カードは裏向きで盤面に配置され、条件を満たすことで表面に裏返る。さらに“スコイア=テル”は、素早く新兵を訓練し、戦場に投入する。敵は突如として姿を表すエルフの兵に圧倒されるのだ。

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▲各勢力イメージ、公式ページより転載 

メディア - グウェント ウィッチャーカードゲーム

勢力毎にスターターデッキとチュートリアル的モードも実装されている。

プレイしているうちに動かし方や特徴を覚えていくと思うので習うより慣れろでまずは遊んでみて欲しい。 

 

 

初心者にオススメのデッキ

初心者にはデッキ構築はハードルが高いだろう。それは数々のTCGに挑戦しては脳死コピーデッキを作ることしかしてこなかった私とて同じだ。

そんな私がオススメしても説得力が無いだろうが、私と同じ初心者でも使いやすい勢力のデッキを作ってみたのでオススメしたい。

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【継戦ドワーフ】 勢力スコイア=テル

リーダー:ブルーヴァー・ホーグ

ゲラルト×1

トリス・メリゴールド×1

マハカムの守備隊×3

(主力ユニット。これを強化して勝ちを狙う)

ドワーフの傭兵×3

(継戦ユニット強化は勿論、天候が配置された列から逃がす)

マハカムの守衛×3

ドワーフに対する強力な強化アビリティ)

ハヴカーの癒し手×2

(ユニット強化要員)

ドル・ブラサンナの射手×1

(敵戦力削り用に一応)

マイグタブラック×1

(10点のアドバンテージという強さ。また、与えるダメージも小刻みなため焦土の対象を複数に持っていきやすい)

ドワーフの散兵×2

(敵戦力削り&味方ユニット強化)

バークレー・エルス×1

(デッキからユニットを強化して召喚するので強力)

ヤーペン・ジグリン×1

(継戦ドワーフと相性抜群。リーダーでサーチできるのも良い)

日の出×2

(モンスターの天候デッキ対策&サーチ)

ディメリティウムの枷×1

(受賞牛等の厄介なユニット対策)

クエンの印×2

(継戦ユニットの強化&破壊対策)

焦土×1

(高い除去力。継戦ユニット強化がコンセプトのこのデッキでは最強ユニットがマハカムの守備隊等になりがちなので注意)

 

【動かし方】

1ターン:クエンの印でマハカムの守備隊を強化

2ターン:ブルーヴァー・ホーグをプレイ。ブルーヴァー・ホーグのアビリティでヤーペン・ジグリンをプレイ

3ターン以降:マハカムの守備隊を他のカードで強化していく

このデッキは最初からあるスターターデッキを少々改造したものだ。カジュアルマッチしかやっていないが、4割~5割くらい勝てる。無論、まだまだ改良の余地は多分にある。

デッキのコンセプトは、ラウンドが終了しても次ラウンドにもフィールドに残り続ける「継戦」というアビリティを持つユニットを強化し、次ラウンドでもアドバンテージを獲得して勝利するというもの。

 

すべきことは自ユニットの強化という単純なものなので初心者にも簡単であるし、カードも初期から殆ど揃っている。

 

課金要素 

このゲームはオンラインTCGだ。TCGといえば、当然課金はカード収集のために行う。

グウェントWCGではカードパックにあたるものを「樽」と呼称し、2つで2.99$から買える。

ただし、無課金でも「樽」を貰うことは出来る。

ラウンド勝利を重ねると鉱石を貰えるので、毎日ラウンドを6回制せば最低でも1日1パック無課金で貰える計算だ。

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トロールから購入できる

さて、この「樽」だが他のオンラインTCGと比べて少し特殊。

「樽」には5枚のカードが封入されており、4枚はレアリティもランダムに提供される。

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▲始めの4枚

そして最後の5枚目は必ずレア以上が提供されるのだが、このカードを選ぶ際には3枚のカードが提示されその中から1枚プレーヤーが選び取るのだ。

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▲最後の5枚目。3枚の内1つを選ぶ

つまり、カードのダブリを回避し、自分のメインにする勢力のカードを選び取るということが可能になっており、他オンラインTCGよりもユーザーフレンドリーな仕様だ。

 

 

その他、カード生成・分解といった入手方法もあり、これはオンラインTCGでは定番のハースストーンスタイルだ。余分なカードを分解して好みのカードを手に入れることもできる。

 

感想

うん、面白い

 

少し遊んでみただけでグウェントWCGに対するCD Projektの意気込みがひしひしと伝わってきた。おまけに過ぎなかったミニゲームをここまでブラッシュアップしてきたかと感心する。

ウィッチャー世界の勢力に合わせて特徴づけ(ニルフガードは密偵を送るのが得意だとか、モンスターは共食いをしたりだとか)をし、かつ一枚一枚のカードアビリティですらウィッチャー世界の再現を試みていることが伝わってくる(ドゥードゥーのアビリティは相手の戦力値をコピーする、など)。

 

また、オンラインTCGとしては異例の俯瞰2Dフィールドを探索するシングルモードというのもその一つだろう。

 

正直、オンラインTCG化されるにあたって一種の逡巡をしていたのは事実だ。ウィッチャー世界を堪能したいが、高い競技性を持つTCGで負けまくるのはつまらない思いをしそうだなどとも考えた。

しかし、10時間を有に超えるシングルモードという今までのオンラインTCGには無かった答えをCD Projektはくれた。

参考記事:(スピンオフした「ウィッチャー3」のカードゲームは素晴らしい - E3 2016 - Gwent: The Witcher Card Game

 

そして、シングルプレイを待つ間の暇つぶしにやっていたつもりがすっかり惹き込まれているのだ。これはひとえにゲームデザインの妙だと感じている。

 

デッキ枚数が少ないことでそこまで構築に頭を悩ませること無く、しかも一試合が短いので何回もトライ・アンド・エラーが行いやすい。加えて、ラウンド制ということでわざと負ける選択肢もある。そうして、持ち越した第3ラウンド。お互い手札がない状態で引いた1枚が勝敗を決することも多々ある。悔しいが、不思議と清々しい。

 

ウィッチャーファンだけでなくTCG初心者にもオススメしたい一作。今後が楽しみである。

 

 

 

ソース

 

 

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