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【レビュー】We Were Here Too

どうも、TRYDERです。

最近は『ワンダと巨像』『ABZU』『Firewatch』と待望のゲームが続々とリリースされ、とりわけSIEに感謝する日々が続いております。

 

さて、今回は偶然目に留まった『We Were Here Too』を紹介します。

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では、どうぞ

概要紹介

We Were Here Tooは2人用協力パズルアドベンチャーで、それぞれのプレイヤーが別のプレイエリアで行動し、お互いのエリアにインタラクトする謎解きをして古城から脱出を図るという内容のゲーム。ちなみに前作We Were Hereの続編ではあるが、話の繋がりは無い。本作の醍醐味は2人で協力しながら謎を解くというプロセスだ。爆弾解体ゲーム『Keep Talking and Nobody Explodes』のような伝言ゲーム的面白さが存在し、どのゲームジャンルよりも会話が必要とされるゲームである。

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▲雪山で遭難する中で見つけた古城。入り口は2つあり…

本作のプレイエリアは2つある。1プレイヤー側には謎解きのギミック(解答側)、2プレイヤー側にはそのギミックの答えとなるオブジェクト(助言側)という構成が謎解き部屋を進む毎に入れ替わる。謎解きとしてはパズルアドベンチャー初心者でも閃きやすいもので難解ではないが、説明というプロセスを挟むと厄介になる。

パズルアドベンチャー経験者なら分かると思うが、しばしばボタンを押すギミック等には謎の記号が付されていたりするが、それを口頭で相手プレイヤーに伝えなければならない。そう、知力だけではなく語彙力も求められるゲームなのだ。f:id:TRYDER:20180211142154p:plain

▲真ん中には魔法陣とルーン文字のような記号が描かれたボタンが配置されたギミックが存在する(解答側のプレイエリア)

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▲もう片方のプレイエリアには魔法陣を作る順番が線で描かれている(助言側のプレイエリア)

この伝言というプロセスが面白い。始めることとしては、まずギミックを理解することからだ。助言側が「こういうオブジェクトがあって…」という説明をして解答側がギミックを理解することもあれば、解答側がギミックを説明して、助言側が対応するオブジェクトが置かれていることに気づくこともある。理解したら、次は解答の伝達だ。ここは助言側の語彙力が問われる。以下のスクリーンショットを見て欲しい。

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▲ダクトの隙間から解答の文字が見える

相手のプレイエリアにはスロットのようにくるくる回る装置が存在し、このスクリーンショットに描かれた絵を合わせなければならない。あなたはどういう形で伝えるだろうか。自分の場合は「お盆を掲げる人、ペニス、怠けた猿」で正解を導いた。このように伝言の面白さは古典的ながらビデオゲームではまだまだ斬新に機能する。

 

欠点

欠点ももちろんある。1点目は翻訳。日本語対応とはいうものの、翻訳されているのはタイトル画面のメニューのみでゲーム内で聞こえる城主の声だとか、日記のようなものの翻訳はされていない。これに関しては謎解きに支障が無いから構わないのだが、メニュー画面でスタッフロール(クレジット)が「課金」と訳されていたのは少々笑ってしまった。

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2点目はクリアまで初見プレイで1時間半~2時間というボリュームだ。トゥルーエンド含めて3時間で全実績を解除してしまったことを鑑みるにもう少しボリュームを欲しかったという印象があるのと同時に、これに関しては“2人用”というプレイの性質上、相手の予定やパズルアドベンチャーに対する適正もあるだろうしこのぐらいのボリュームで充分である気もする。価格面で考えると1010円という値に釣り合った体験はあったかなと感じているので欠点とは言ったもののその実、そこまで気にはしていない。

 

真の問題は3点目だ。ちなみにギミックのネタバレは含むので、適宜ブラウザを閉じるなりして頂きたい。本作のトゥルーエンドと言えるエンドは2人で一緒に脱出するもので、これに到達するためにはあるギミックに気づく必要がある。それは各謎解きエリアに設置されているレバーをあげていく必要があるというもので、出口付近にあるパネルでいくつあげたかが示されている。そのため、一周目はほぼ確実に1人で脱出するエンドになると思う。ここで問題なのが、最終部屋であれやこれやと四苦八苦してレバーを見つけても徒労に終わるという点だ。妥協して1人エンドに達した時にどう感じるかはプレイヤー次第だが、自分の場合は釈然としなさが残った。

 

そして2週目はレバーを見つけ出すことから始まる。謎解きも全てわかっているため作業だ。そして出口付近のパネルを見ると一番最初の謎解き部屋にレバーの取り残しが見つかり、またこれが見つけにくい場所にある(答え→首領プレイヤー側の最初の部屋のダクト〔概要紹介で上掲した画像のダクト参照〕)。3週目で全てのレバーを上げて、ようやく脱出したと思いきや、そこで流れるムービーには2人のうち1人が引き返す姿が映っているではないか。周回プレイに見合うカタルシスも無い上にオカルト的理由であったとしても釈然としないのは事実だ。ゲーム内オブジェクトに翻訳が無いのもここで効いてきた。

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▲We Were Here Too(デーン  「お、おう…」

 

まとめ

多くのパズルアドベンチャーゲームと同様にギミックが提示され、知力によって解法を捻り出すというプロセスは従来ジャンルと変わらないものの、解法の鍵となるオブジェクトがもう片方のプレイヤーのプレイエリアに存在するという点は新しい。とは言え、他のパズルアドベンチャー同様、舞台説明は最小限に留めているため物語説明は無く期待すべきではない。

笑いやもどかしさが生まれることは間違いなしだが、ゲームの空気感を知りたいならば、無料の前作『We Were Here』から試してみるのもいいだろう。