TRYDERの一週一雑

一週間に一度の更新を目指す雑記。自分が堪能したコンテンツを記す備忘録的なアレ

Half-life2: episode3が気になりすぎるのでEpistle 3を訳した

どうも、TRYDERです。

 

今回は未完のFPSタイトル『Half-life』シリーズ脚本家が手がけた、続編構想プロットを翻訳しましたのでご紹介致します。

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ハーフライフの脚本家マークレイドローが公開したEpistle 3のページ

 

では、早速始めていきます。

 

前置き

未完のFPSタイトル『Half-life』シリーズは言うまでもなくFPS史に残る作品であり、私も魅了された一人です。恥ずかしながら、ゲーマーを自称しておきながらプレイしたのは今年なのですが。

閑話休題。未完の理由は倒産とかそういった類ではないのです。『Half-life』を開発したValveは依然、steamを運営し我々の財と時間を奪っています。純粋にビジネス的な理由で作成されなかったのです。そして、同社はしばしば「3を数えられない」と揶揄されます。

Portal 2』『Team Fortress 2』『Left 4 dead 2』……。これらの代表的タイトル含め、Valve社開発のゲームは3以降のナンバリングタイトルが存在しません。それ故に「3を数えられない」のです。

▲全て“2”止まり

ですが、『HL2:ep2』プレイヤーからすれば酷な話です。エピソード分割にすることでプレイヤーを待たせず、開発環境も楽にするという双方win-winな形が皮肉な状況を生んでしまったのですから。プレイヤーは約10年間続編を待ち続けていますが未だにその気配はありません。

そして、来る2017年8月25日。Half-lifeの脚本を手がけたマーク・レイドロー氏が、Valve社の退社に伴い一本の短編を自身のブログにアップしました。それがEpistle 3です。氏がepisode3として構想していた物語の案です。

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私は『HL2:ep2』クリア直後、当然の如く続きが気になりました。そしてEpistle 3の存在を知りましたが、国内のサイトではプロット概要の訳(doope!)は見つかれど、全文が翻訳されていませんでした。

そこで訳すに至ったわけですが、私は義務教育課程で学んだ程度の英語力しかありません。実際、翻訳にあたってはハードルが高く今回の翻訳記事も自信がないです。それでもプレイヤーの方々に訳を共有したかったのです。以下がその翻訳となります。

※注意点

  • 原文における固有名詞を、Half-lifeの固有名詞に置き換えています(例:「ガーティ・フリーモント」→「ゴードン・フリーマン」)。
  • 分かりやすい文章を心がけた都合上、原文に無いニュアンスへと変更している場合が多々あります(例:「強く感じていた」→「主張していた」など)。
  • また、誤訳の可能性もありますので、発見されましたらコメント欄にて指摘していただけると幸いです。クオリティアップに繋がりますので是非お願い致します。

 

 

Epistle 3

 

Epistle 3
08-25-2017 2:05 AM

 

親愛なるプレイヤー諸君*1

 

この手紙が上手く見つかっていることを祈ろう。さて、不満は聞き及んでいる。「ゴードン・フリーマン*2。 長い間、あなたの音沙汰がない」と。もしも聞く気があるのなら、言い訳には事欠かない。だが、一番の理由を挙げるとすれば、他次元もしくはそれに類する諸々の事情により通常の手段ではメッセージを届けることが出来なかったのである。私の周囲を一変するような事態はほんの18ヶ月前*3まで続き、漸くこの海岸へとたどり着いたのだ。

さて、私は沈黙の数年間を説明するための最良の方法について、思案する機会があった。まず始めに謝罪しなければならない。あなたたちを待たせてしまったこと、そして待たせる事態が生じてしまったことに関してだ。差し当たっては以前の手紙(ep2)で説明されたことに関して手っ取り早く紹介してしまおう。細かなところまでを簡潔に、そして迅速に。

 

以前、私が送った手紙の文末から思い出される通り、イーライ・バンス*4の死は我々に衝撃をもたらした。レジスタンスは深い傷を抱え、彼の死によって計画がどの程度損なわれたのか、計画を継続すべきかの判断が出来ないでいた。だがイーライの埋葬を経て、レジスタンスを再結成するための勇気と力を得た。我々は彼の願いを受け継がなければならない。それはイーライの勇敢な娘であるアリックス・バンス*5の強い信念でもあった。

イーライの長年の助手ジュディス・モスマン博士*6によってもたらされた南極の座標は、消息不明の砕氷船ボレアリス*7を指していると思われた。イーライはボレアリスがコンバイン*8の手に落ちることを許さず、破壊すべきだと主張していた。我々以外はこの案に反対した。ボレアリスが反抗を成功させる何らかの秘密を握っていると考えていたからである。どちらにせよ、船を発見しないことにはこの議論は机上の空論であった。故に主力の兵士らで構成される支援部隊とは別に、私やアリックスらバンス博士の手伝いをしていた者たちは水上機で南極へと赴いた。

 

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▲南極のボレアリス(Half-Life Wikiより転載)

何故、私たちの小さな水上機が墜落したのかは、はっきりしない。吹雪の中、それも極寒の荒地を彷徨ったせいか、もはや記憶はおぼろげだ。はっきりと思い出されるのはジュディス・モスマン博士によってもたらされた、ボレアリスが存在すると思われる座標に近づいたときのことである。

我々がボレアリスの代わりに見つけたのはコンバインの邪悪なテクノロジーによって幾重にも要塞化された基地であった。それは大氷原を包み込むほどの大きさで、ボレアリスそれ自体の姿は無かった。もしくは最初から無かったと思われる。その一方、私たちがコンバインの基地へ忍び込んだ際、巨大なホログラムが周期的に現れたり消えたりする強いコヒーレントオーロラ現象を目撃した。

当初、この奇妙な現象はコンバインによる巨大レンズ装置それ自体が投影しているものと思われた。しかし、私とアリックスは、自分たちが見ているものは砕氷船ボレアリスそのものであることにすぐに気づいた。コンバインの巨大レンズ装置はボレアリスの存在を浮かび上がらせていたのだ。エイリアンたちは船が現れた際、船を分析し、鹵獲するためにその要塞を建造していた。つまり、モスマン博士は船の座標ではなく、船の出現予測地点の座標を送っていたのであった。

ボレアリスは我々の住まう現実世界と、その他の空間・次元を往来しており、その周期は徐々に安定しつつあったが、それが長期間持続する保証は無かった。故に、私とアリックスはボレアリスが物理的にこちらの世界に出現し次第、即座に乗船する決心を固めたのである。

 

しかし、この時点で我々は簡単に拘束されてしまった。それもコンバインの手によるものではなく当初から危惧していたとおり、かつての仇敵、狡猾なホラ吹き野郎であるウォレス・ブリーン*9の手下どもによってだ。そう、ブリーンは我々が最後に見たような末路を辿らなかった。つまり、彼は死んでいなかったのである。

ある段階でコンバインはブリーンの意識を保存しており、肉体の喪失時には予備人格を地虫に似た生体部品へ刷り込んで*10あったのである。こうして地虫となったブリーンは、コンバイン内での相対的な地位は上であった。しかし、私に対して恐怖と不安を抱いているように見えた。ブリーンは、オリジナルである以前の肉体がどのようにして死に絶えたかを知らない。彼が知っているのは私の仕業であるということのみである。故にブリーンは我々を警戒していた。にもかかわらず、ブリーンはコンバインに自由を奪われていることを告白した。長い間、沈黙を貫くことは出来なかったのだろう。ブリーンは自らのグロテスクな存在を快く思っておらず、自身の命を絶つよう我々に懇願してきた。

アリックスは、死を以て償わせることはブリーンの身に余ると考えていたようであったが、私は僅かながらの同情心を抱いていた。もしかしたら私は、先へ進む前にアリックスの目を盗んで、ブリーンの死を早めるような行為をしたかもしれない。

 

ブリーン博士に拘束されていた地点からそう遠くない場所で、コンバインの尋問室に捕えられたジュディス・モスマン博士を発見した。想像の通り、アリックスとジュディスの間に緊張が漂う。イーライの死を告げる中、アリックスはジュディスを激しくなじり、ジュディスもまた、酷くショックを受けている様子であった。

そして、ジュディスはイーライに請われてレジスタンスのために働いていたダブルスパイであったことを明かす。アリックスを説得しようと試みたのである。しかし、たとえダブルスパイの事実が判明したところで、アリックスの同僚や組織全体からは裏切り者とみなされるリスクがあった。私はその説明に納得したが、どうやらアリックスはそうはならなかったようだ。

とはいえ現実的な視点に立ち返ると、我々はモスマン博士に頼り切っていた。ボレアリスの座標に加えて、ボレアリスをこちらの世界へ引き戻すのに必要なレゾナンス・キーも彼女が所持していたからだ。

 

我々は研究基地を警護するコンバイン兵と交戦。モスマン博士はコヒーレンスを短くするために必要な、正確な周波数へとボレアリスを調整する。そして、ボレアリスが出現している僅かな間に、背後に迫る戦力不明のコンバイン兵と共に乗船したレジスタンスの援軍が到着するも、船は振動を再開。コンバイン軍も到着し、参戦するのと同時に船は抜錨。我々は宇宙へと投げ出されたのである。

 

▲イメージ(Gazz作 Half-life 2: Episode 3 Proof of Conceptより)

次に何が起きたのかを説明するのは困難を極める。アリックス、モスマン博士、私は機関室、操舵室、司令室を巡り、船の操舵方法を探し求めた。すると、ボレアリスの船歴には紆余曲折あることが判明した。コンバインによる侵攻の真っ只中、ヒューロン湖に存在するAperture Science Enrichment Center*11(アパチャーサイエンス社 発展強化センター*12 )内の乾ドックでは、いくつかの研究チームがブートストラップ・デバイスと呼ばれるものを開発していた。そのデバイスが意図したとおりの機能を発揮すれば、船を覆うほどのフィールドを放出すると思われ、目的地との間にどんな空間が介在していようと好きな場所に瞬間移動することが出来る。入口や出口のポータルはおろか、他の機械類を一切必要とせず自力で稼働するのである。そして、不幸にもこのデバイスはテスト稼働をされたことがなかった。

コンバインが地球侵攻を行った7時間戦争*13で、エイリアンどもは我らの最も重要な研究施設*14を収奪した。コンバインの魔の手からボレアリスを遠ざける望みの無い研究スタッフたちは、自暴自棄に陥りフィールドを起動。ボレアリスを遠隔地である南極大陸へと送ったのである。彼らが予想だにしなかったのは、ブーストラップ・デバイスが空間だけでなく時間移動をも誘発したということであった。加えて、特定の場所・時間に限定されるわけでも無かった。

ボレアリスが起動した瞬間。もはや人々の忘却の彼方にある7時間戦争当時のミシガン湖と、現在の南極との時空間を横断した。それはまるで、震えるギター弦の上に倍音を奏でる一点が存在するかのように。その振動しない一点を除けば、ピンと伸ばしたゴムバンドを引っ張った時のように揺動した。

我々がボレアリスに乗船したのは、複数ある倍音点の内の一つにすぎない。そして、我々も古今東西あらゆる方向へと引っ張られたのである。

 

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倍音のイメージ(wikipediaより転載 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Overtone.jpg

 

時間が渾然一体となった。艦橋からはコンバイン軍によって陸海空から包囲されたアパチャーサイエンス社乾ドッグの様子*15が見え、次いで南極の荒野*16が目に入った。そこでは我々の友軍がボレアリスへの途上で戦っている。おそらく、過去あるいは未来の別世界を垣間見ているのだ。そこは、コンバインが別世界を侵略するための中間拠点であるとアリックスは確信しているようであった。

そうこうしているうちに、船内にいる我々も、追手であるコンバイン兵との戦闘に陥る。我々は陥っている状況を飲み込み、「次に何をすべきか」という判断に苦慮した。「我々はボレアリスの航路を変更出来るのだろうか?」「南極に船を座礁させ、仲間たちにボレアリスを研究する機会を与えるべきなのだろうか?」「我々の手で船の全てを破壊すべきなのだろうか?」といった考えが巡る。まるで泡のように船内を通り抜ける不可解で異常なタイムループの最中で、一貫した思考を保つことはもはや不可能であった。私、いや皆、狂っていたのだ。半ば惨劇の館のような幽霊船と化した船の中、各々が複数の(時間軸の)自己の内面と対峙していたのだから。

 

選択の時が来た。ジュディス・モスマン博士は、ボレアリスを確保してレジスタンスの下へもたらすべきであると合理的に主張した。そうすれば、我々の賢明なる仲間がその力を解析し、活用出来るやもしれないからである。

一方、アリックスは父親の意思を尊重し、船を破壊する誓いを立てていた。さらにアリックスは、ボレアリスでコンバインの中枢へ乗り込み自爆させる計画を立案した。モスマン博士とアリックスは議論を戦わせる。モスマン博士はアリックスを押し切って、ブーストラップ・デバイスの停止及び氷上にボレアリスを係留するための準備を始めた。

その時、銃声が響きモスマン博士は崩れ落ちた。アリックスは我々のために武器を取る決断をした*17のである。モスマン博士の死後、我々は自爆攻撃に身を投じつつあった。残忍にもアリックスと私は、時間跳躍ミサイルを製作してボレアリスに武装を施し、コンバイン司令部へと舵を切るのであった。

 

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▲イメージ(Blendo Games作Tiger Teamより)

その折、耳にしたところでさして驚くこともないだろうが、不穏な輩が現れた。冷笑を浮かべる詐欺師、G-Man*18である。一度、彼は保母の姿でアリックスの前に現れたことがある。アリックスは幼少以来、G-Manとは会ってはいなかったが、一目見て即座にその存在を認識したようであった。「ついてきなさい。我々には為さねばならぬことがある」とG-manは告げ、アリックスも不本意ながら同意した。彼女はその怪しげな男とともに船外へと、現実の外へと歩を進める。そして彼は私を横目で見ながら、けらけらと笑う。私に対しては船外へと至る便利な扉が開くことはなかった。こうして私はコンバインの母星の只中、一人船内に取り残された。

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巨大な光が輝いていた。私は煌々と輝くダイソン球が浮かぶ宇宙を見ていた。その瞬間、今までの我々の抵抗がコンバインの強大な力の前では児戯に等しいことを察する。私は全てを見た。私は、最も強力な兵器であるボレアリスの状態を悟る。間もなく消えゆくマッチの先端に満たない状態へと粉々に爆発し、私はさらにそれよりも小さくなるのだ。

 

その時である。あなたがたが既に予想していた通り、ボーティガンツ*19が現実へと続くチェッカーカーテンを分かち、私をあの空間から連れ出した。私は地球へと達し、ボーティガンツの傍らへと導かれた。私は辛うじて爆発が始まるのを見ずに済んだのだ。

 

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▲ボーティガンツ 

そして、私はここにいる。この海岸へ至るまでの出来事をこうして語っているのである。それは私が見知った場所に至るまでの壮大な回り道であり、その風景の変わりようには驚いた。さて、私が成し遂げたかったことや、最後に話したことといった記憶を辿るには十分な時間が過ぎた。また将来、レジスタンスが失敗もしくは成功したにせよそれは私の助力によるものではない。旧友*20は沈黙し、挫折してしまった。私はもはや調査チームのほとんどのメンバーの行方を知らないのだ。だけれども、彼らが未だ抵抗の意思を持続させていると固く信じている。

私よりもあなたの方が行く末を正しく導く方法をよく知っているだろう。私はあなたに託して去ることにする。そしてこれらのことに関する私からのさらなる対応を除けば――これが私のファイナルエピソードとなる。

 

 

Yours in infinite finality,

 

 

ゴードン・フリーマン博士

 

結び

衝撃的な最後と共に謎も多く残る最後でした。G-Manの正体も定かではないし、ゴードンにあれほど執着していたG-Manが何故あそこであっさり見捨てたのか、アリックスにどの役割が与えられるのか、などです。

 

尤も本作はあくまで「ファン・フィクション」であることを忘れてはいけません。

本作を執筆したマーク・レイドロー氏もTwitterでこのことに言及しています。

とは言え、やはりHalf-lifeの脚本家が手がけたファン・フィクションということで、ストーリーが未完という状況も助け、各メディアに大きく取り上げられています。

その影響はコミュニティにも現れています。Epistle 3公開の3ヶ月後には早速、Epistle 3 Jamというイベントが開催されました。

実際にEpistle 3内の場面を忠実に再現した作品もチラホラ伺えます。

やはりゲームでep3をプレイしたいのが本音です。そして、前作リリースからの年月と真偽には一考の余地がありますが、内部関係者によるリーク(『Half-Life 2: EP3』は死んでいる、それが起こる世界はない―さらなる内部事情が報告 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト)もあり続編が絶望的なのが現状。今回のEpistle3はとりあえずの一区切りになるのではないでしょうか。

 

 

 

 

*1:原文ではPlaya(プラヤ)

*2:原文ではGertie Fremont(ガーティ・フリーモント

*3:マーク・レイドロー氏のValve退社時

*4:原文ではElly Vaunt(エリー・ヴァント)

*5:原文ではAlex Vaunt(アレックス・ヴァント)

*6:原文では Dr. Jerry Maas(ジェリー・マース博士)

*7:原文ではthe lost luxury liner Hyperborea(豪華客船ハイパーボレア)

*8:原文ではDisparate(ディスパレート)

*9:原文ではWanda Bree(ワンダ・ブリー)

*10:ファンイベントEpistle 3 Jamのバナー画像を見ればイメージが湧きやすい

*11:原文ではTocsin Island Research Base(トクシン・アイランド・リサーチ・ベース)

*12:アパチャーサイエンス社Portalシリーズに登場する企業で、ブラックメサのライバル関係にあるとされている。

*13:原文ではNine Hour Armagedon(ナイン・アワー・アルマゲドン

*14:おそらくブラックメサのこと

*15:7時間戦争当時(過去)

*16:現在・未来

*17:射殺した

*18:原文ではMrs. X(ミセス・エックス)

*19:原文ではGastlyhaunt(ガストリーハント)

*20:おそらくゴードンのこと