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防衛省見学のススメ―シン・ゴジラ流行の今、日本の防衛中枢を覗く意義

どうも、TRYDERです。

 

先日、皇居東御苑から防衛省の見学に行った後、シン・ゴジラ(4回目)を観に行くというコースを実行してきました。

 

シン・ゴジラ自衛隊に注目が集まっている中、日本の国防を担う防衛省を見学出来ることを知らない方が多そうなので今回は防衛省ツアーについて書いていきたいと思います。

 

シン・ゴジラでは防衛省は、中央指揮所という地下に存在する最高司令部という形で出てきましたが、流石にそんなところは見せてもらえないです。しかし、庁舎や記念館を見学できました。

 

当日、尋常では無い豪雨だったのと、保安上敷地内が撮れない箇所があったので、写真がほぼ無いのですがご了承いただければと思います。

 

  • 予約 

防衛省は当日行って見学ということは出来ません。見学予定日の一週間前までに見学予約防衛省ページ防衛省・自衛隊:市ヶ谷地区見学(市ヶ谷台ツアー)の御案内内で行ってください。

 

防衛省見学は午前と午後で内容が異なります。

  • 午前(09:30~11:45):市ヶ谷記念館、屋外ヘリ展示場、厚生棟、殉職者慰霊碑など
  • 午後(13:30~15:40):市ヶ谷記念館、屋外ヘリ展示場、厚生棟、広報展示室(※)など

(※:尚、午後の部について、10月より防衛研究所の「史料閲覧室」が開室される関係で「広報展示室」見学が「史料閲覧室」見学に変更される予定です。)

 

僕は午後の部に行ってきました。

 

  • 集合

午前の部は(09:10~09:20)の間に、午後の部は(13:10~13:20)の間に受付が行われます。

 

僕は受付時間の50分前に着いてしまったのですが、防衛省の正門は下の画像のように厳重で警備員が多数いたことから、待つ場所が無いまま待ちぼうけを食らってしまったので早く行き過ぎることは避けたほうが良いかもしれません。

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▲正面ゲート(wikipediaより転載)

 

とは言え、当日は14:50には画像正面ゲートの左でツアー参加者がそろっていたため、20分程前に行くのが良いかもしれません。

 

僕は早く来たおかげで、防衛省正門を眺めていたのですが黒塗りのいわゆる“官僚”が乗った車が頻繁に出入りしており、そこでまた興奮していました。

 

参加者は、証明書照会を行って首にさげる訪問者カードを受け取ります。

証明書照会で身分証明証が無いと見学が行えないので、注意しましょう。自動車免許証や健康保険証などが有効なようなので、詳しくは防衛省のページでご確認ください。

(健康保険証の場合、裏に住所を書くタイプのものがありますので、行く前に書いておいてください。住所も照会されます。)

 

  • 見学(正門~市ヶ谷記念館)

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防衛省図 パンフレットより

いよいよ見学開始。特徴的なエスカレーター(画像正面ゲート内奥)を登ると、庁舎D棟前を通って、庁舎A棟の儀仗広場前渡り廊下に案内されます。

 

庁舎D棟前には白色が特徴の73式小型トラックが多数止まっています。これは警務官用の車両です。

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▲警務官仕様73式小型トラック wikipedia警務官 - Wikipedia)より

警務官とは簡単に言えば自衛隊内の警察です。自衛隊の中で行われた犯罪の捜査などを担当しており、その警務隊用の車両が庁舎D棟前に駐車されています。

 

その眺めを見ながら、儀仗広場前にやってきます。

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▲当日の儀仗広場

ご覧の通り、ひどい雨でした。儀仗広場海外の要人等をもてなす際に、儀仗隊がここに整列をし、各種儀式をする場所です。最近では稲田朋美防衛大臣が初登庁した際、栄誉礼が行われたことは記憶に新しいですよね。

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稲田朋美防衛大臣初登庁における儀仗広場 中日新聞「崇高な任務全身全霊」 稲田防衛相が初登庁 栄誉礼や着任式:福井発:日刊県民福井から:中日新聞(CHUNICHI Web))より画像転載

ここで、自衛官の方が解説をしてくれます。軍人の慣習で傘をさすのがダメだとか、旗の掲揚は国際的に決まっており、左が外国旗、中央が国連旗、右が自国旗になっていること、儀仗広場の下は防空壕になっており奥の灯籠はその換気口であるというお話を聞くことが出来ました。

 

本当は庁舎を撮りたかったのですが、保安・機密上撮影はNGとのことでした。

 

こうして儀仗広場を後にすると次は市ヶ谷記念館に歩を進めます。

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▲当日の市ヶ谷記念館外観

市ヶ谷記念館は戦前に作られた陸軍士官学校の1号館の内、象徴的な部分を移設して記念館にしたものです。

 

移設に際してのこだわりは相当なもので、ナラの木の床も正確に元あった場所に配置されているのだとか。

 

この記念館は三島事件の舞台になったほか、極東国際軍事裁判が行われた大講堂天皇陛下の休憩所である便殿の間が移されています。

 

中に入ると画像のような講堂が目に入ります。

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▲下から見上げた玉座

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極東国際軍事裁判当時の大講堂 wikipedia極東国際軍事裁判 - Wikipedia)より

 

写真で見るより意外と小さいのですが、これは遠近法が多用された作りによって大きいと思い込んでいたようです。

 

画像左が裁判官席、中央奥が同時通訳席、右側が被告人席、中央手前が外国要人、それより手前(写真を撮っている場所)が報道席となっています。そういった説明もガイドの方がしてくれます。

 

市ヶ谷記念館の成り立ちについてのビデオ(8分程)を観てから、大講堂の舞台見学、その後に展示物見学(15分程)を行います。

 

展示物には大変貴重なものが多く、今村均の勲章や栗林忠道の写真や手紙、舩坂弘の銃剣などが展示されており正直、15分じゃ足りなかったです……

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▲展示品一部

 

付き添いの自衛官の方が、高校生たちに極東国際軍事裁判について知っているかを訪ね、首を振った彼らに一から説明している様子が印象的でした。

 

この展示見学時間が終わると二階に上がり、三島由紀夫が扉を斬りつけた刀痕がある陸軍大臣室や陛下の休憩所である便殿の間を見学し、記念館を後にします。

 

ここで一つ驚いたことが! 記念館に大量のシン・ゴジラのポスターが貼られていたのです! 後に出てくる厚生棟にも大量に貼ってあることから防衛省イチ押しの映画ということが伝わってきました。

 

  • 見学(屋外ヘリ展示~庁舎D・E棟)

記念館を出ると真正面にUH-1H「ひよどり」が見えます。本来のツアーでは乗ったり出来るみたいなのですが、市ヶ谷台地区工事に伴い当面の間見学できないとのこと。

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▲当日撮ったUH-1H「ひよどり」

現在では、UH-1Hに代わりエンジン出力とローター性能を向上させたUH-1Jが活躍しています。シン・ゴジラでは余り出てきませんでしたが、駐屯地の背景にいるのかな?

探してみてはいかがでしょうか。

 

さて、ヘリ展示を過ぎると隊舎を過ぎ、厚生棟へと入っていきます。

 

その間も撮影は出来ませんでしたが、階級にもあしらわれている桜星が特徴の業務車1号、また自衛隊の中でも偉い人(1佐=大佐以上)が乗る黒塗りの業務車3号があちらこちらに停車しているのを眺めながら歩いていきました。

 

厚生棟ではカフェやコンビニなど防衛省に勤務する職員のための福利厚生サービスが提供される棟となっており、ツアーでは広報展示室を見学した後、お買い物という流れでした。

 

また、厚生棟もザ・官庁という作りで、広報展示室に行く最中の廊下をカツカツと歩いているとまさしく官僚気分に浸れます。

 

広報展示室は小さいので展示は少ないのですが、興味深いのは次世代装備の研究が展示されていたこと。兵士間のデータリンクテレスコープ弾と呼ばれる薬莢を含めた弾全体を小さくする高度な技術についてや、ドローン三次元複合材などあっさりとした展示でしたが大変貴重なものが置いてありました。

 

一番テンションが上ったのは金属ジェットによる侵徹状況の展示。弾が当たると、こうして装甲は抜かれるんですね……

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金属ジェットによる侵徹状況展示

自衛隊の役割についてのビデオを見た後はお買い物。

自衛隊ならではの戦闘やサバイバルに関する商品はもちろん、ツアー参加者向けのお土産も売っています。僕が一番欲しかったのは売店の隣にある制服専門店の制服・階級章でしたが、流石にアレは自衛官にしか販売しなさそうな雰囲気を醸していましたので断念。

 

しばらくうろちょろしていると、ここでもシン・ゴジラのポスターがずらっと貼ってあるのを発見。しかし、撮影禁止なのが残念でした。聞き耳を立てると自衛官の方の「シン・ゴジラ見た?」という会話が聞こえてきましたのでいよいよ防衛省公認映画だななどと思いつつ、ツアーは終了の流れへ。

 

最後はD棟・E棟の説明を受け正門へ向かって解散になります。

 

D棟を通る際、入り口にはまだ新しい防衛装備庁の木製札が。去年の10月1日に発足した防衛装備庁で最先端の兵器が練られているのだと思うとなかなか胸が熱くなりました。

 

最後にガイドの方、付き添いの自衛官の方が防衛省自衛隊への「ご理解を深めていただければ幸い」という言葉を締めにツアーは終了しました。

 

  • 意義

シン・ゴジラ内だけでなく私たちの身を守ってくれている、安全を保障してくれている人たちの職場を見ることは近年の安全保障関連の議論においても貴重な体験になると思います。

 

防衛省で職員の方とすれ違った時も、私たちのために働いてくれているんだと強く感じました。

 

シン・ゴジラ内で大活躍の自衛隊ですが、日々スクランブルや領海侵犯の対処等で現実の脅威に立ち向かっていることを忘れてはいけません。これがある意味、虚像と現実だと思います。

 

シン・ゴジラをきっかけに国防や歴史を知ることが今、そしてこれからの未来を考える上で、選挙の際の判断材料等を含めて重大な意義があることだと思います。