【レビュー・紹介】Horizon zero dawn―まだ見ぬ機械獣を求めて
どうも、TRYDERです。
ニンテンドースイッチ発売とゼルダの伝説ブレスオブザ・ワイルドに完全に話題を奪われた感がありますが、3月2日に発売されたゲリラゲームズ初のオープンワールドゲーム、ホライゾン・ゼロ・ドーンを紹介していきたいと思います。
ゲリラゲームズ初のオープンワールドタイトル
ゲリラゲームズはFPSゲーム、KILLZONEシリーズを作ってきたオランダのスタジオ。wikipediaを見る限り開発タイトルは一本を除き全てKILLZONEですね。
Horizonにはゲリラゲームズの新たな柱である新規IPを打ち立てたいという野望があったのかもしれませんが、今回の出来を見るに見事成功したのではないでしょうか。だって、既に僕が続編を切望しているのですもの。
もともとSF系の世界観構築が上手かったのと、KILLZONE SHADOWFALLでも描画が綺麗だったのでオープンワールドでもイケるという確信があってのことだと思います。ホライゾンで見られる機械獣の意匠もどこかKILLZONEの面影が残っているような気がします(斜めが多用された装甲とか、目の部分が赤くライティングされてゲーム内でもそれが誇張して描写されていたり…など)。
とは言え、全く新たなジャンルであるというのに加えて、世界観も広大な草原や砂漠で暮らす原始的な人々がメインなので新たに脚本家などのシナリオスタッフ関連を強化したと関連記事で語っています。
そんなゲリラゲームズのHorizonはどんなゲームなのでしょうか。
ゲームの流れ
このゲームの世界では僕達のような文明は一度滅んでいて、原始的な狩猟採集社会が広がっているという、いわゆるポストアポカリプスモノです。ポストアポカリプスでオープンワールドと言えばfalloutシリーズですが、あれとは異なり緑が豊かで機械獣たちが跋扈しているという変な世界なんですよね。
▲冒頭のシーンとかは自分の中でジュラシックパークのアレ(Jurassic Park - Main Theme - YouTube)が流れていました
このゲームをやり始めてまず特徴的なところはチュートリアル。幼少期から始まり、成長するにつれて狩りの方法を習得していくのですが、主人公・アーロイとともにプレイヤーも操作に馴染んでいくように出来ており、これは質の高いチュートリアル体験というか感覚だなと。
プレイヤーがフィールドに放り出される頃にはアーロイも20歳かそこらになっており、狩りの腕も一流に。この世界が何故形成されたのかが、自分の出生に関わっていることを知り、各地を巡りながら謎を解き明かしていくという流れになっています。
特徴
第一の特徴は何と言っても狩り。と言っても、モンハンのような狩りゲーでは無く、ホライゾン・ゼロ・ドーンは狩猟ゲー。機械獣とは言え、本物の動物のような動きをしますし、AIも賢いのでお互いの知力のぶつかり合いなんですよね。
まるで、白鯨との闘いのようなそんな感じの一騎打ち。実際のスクショを見てもらった方が早いと思います。
お相手はサンダージョー。恐竜のような見た目をしています。ゲーム内では結構強い方ですね。
①まずはフォーカスを使ってじっくり観察。弱点属性を調べます。
②進路上に罠を設置。来るのを待ちます。
③岩陰に隠れて戦闘開始。爆裂の矢を使って装甲板と武器を剥がしていきます。
④中心付近に薄い文字で「+300 部位破壊」と書いてあるのがわかるでしょうか。この紫の破片が装甲板で、上二つはこの攻撃で弾き飛びました。
⑤装甲板を剥がしたことで中心部の弱点である心臓が露わになりました。
⑥心臓には粘着爆弾が効くので武器を弓からスリングへ変えます。
⑦死闘の末、撃破。サンダージョーの討伐成功!
他にも爆裂の矢でサンダージョーの持つディスクランチャーを剥がし、氷結の矢で凍結状態(与ダメージ2倍)を付与してからディスクランチャーを拾って大ダメージを与えるという早期決着パターンも出来ます。
このように、狩猟の爽快感を味わえるのがこのゲームの魅力。世界全体が狩場なんですよね。サンダージョーだけでなく、他にも機械獣はたくさんいます。
▲ストームバード
▲トールネック(狩猟対象ではない。こいつの頭に乗ってハッキングすると付近の地図が更新される)
第二の特徴はグラフィック。既にお気づきの方も居ると思いますが、本当にグラフィックが綺麗です。以前、Quantam Breakのレビュー(【ゲーム紹介】Quantum Break(クォンタムブレイク)―TIME IS POWER 時、それはチカラ― - TRYDERの一週一雑)を書いた際、現時点におけるグラフィックの完成形と評しましたが、今回のホライゾン・ゼロ・ドーンは軽々とそれを超えていった感がありますね。
しかもゲーム内動作でもカクつきが見られず、非常に滑らか。ゲリラゲームズは高い技術力を持っているようです。
▲不自然なモデリングになりがちな人間も凄くリアル
流石、DECIMAエンジンです。PS4proではないノーマルのPS4にも関わらずこの描画力。勿論、ムービー内では無くゲーム画面です。小島監督もパートナーに選ぶのも納得ですし、この凄いエンジンのソースコードを初対面で渡してしまうハーマン・ハルストさんも中々に豪胆というか……
最近のゲームは凄いですよね。以前にもグラフィックが凄いという評価は陳腐化していると言及しましたが、真に凄いものはグラフィックが凄いと言わざるを得ませんもの。このホライゾン・ゼロ・ドーンでもそれが顕著で特にフォトモード、これが凄まじい。
色効果やぼかしなどの充実したフォトオプション。写真好きの人なら年単位で遊べるのではないでしょうか。この記事内で使用している画像は全部ゲーム内のスクショですからね。戦闘中にオプションボタンを押してフォトモードにするだけで緊迫感あふれる画像が撮れてしまうのでフォトモードは本当に飽きないですね。
使いやすいのもポイントで、装備品のカメラで一々撮らないといけなかったり、視点は据え置きだったり実用性に欠けるフォトモードは過去のゲームでもありましたが、本作のフォトモードは他の追随を許さないほどに飛躍したフォトモードだと思います。
残念な点
上述した通り、自分でもビックリするくらいハマってはいるのですが個人的に残念に思った点というのは当然のようにあります。それは“オープンワールドRPGとしてはまだまだ荒削りな部分も多い”という部分に尽きると思うのですが。
というのも、ジャンルやシステム的にベセスダ系オープンワールドRPG(The Elder Scrolls、fallout)やウィッチャー3と比べたくなってしまうのですが、当然ながら一歩劣る部分が散見されます。この当然という言葉はゲリラゲームズ初のオープンワールドタイトルであることを鑑みての意味です。
その点を列挙していきたいと思います。
・サイドクエストの作りがイマイチ
量が少ないのは勿論ですが、フォーカスという便利な道具(敵の弱点などを表示する分析装置)があるせいでプレイヤーに一切考えさせること無く、足跡を追うだけという単調な展開が多いです。
ベセスダ系オープンワールドやウィッチャーではふとした小物を拾ったことが発端となり、劇的な展開になったりするのですが、ホライゾンのサイドクエストは大体同じような内容なんで、ストーリーのあるおつかいをさせられているような感じがしてしまうんですよね。
また、サイドクエスト自体も他のオープンワールドRPGとか比べて結構少ないのでボリューム不足にも感じました。次作が出るならばサイドクエストを改善して欲しいと強く感じました。
・武器防具が少ない
武器・防具が少ない(おそらく20種くらい?)のは機械獣の設定を活かしきれていないなと感じました。機械獣というオーパーツの塊のような敵がいるにもかかわらず、武器・防具作成のシステムにあまり活かされていないのは残念です。
また、改造スロット(武器強化パーツをはめる穴)数が多い武器が結局は強いというのもどうなのかなと。
falloutとかだと武器種・属性・スキル振りが多様化しているので、プレイヤーによって最強の武器は違うと思うのですが、このゲームだと後半はシャドウ・カージャの武器もしくは館の武器(特定の狩場を全て最高の評価でクリアした際に貰える武器類)しか使わないので、この部分も改善点かなと。
・ロードが長い
これは仕方ないような気もするのですが、ファストトラベル(離れたチェックポイントを瞬時に移動する)時などに暗転してロードが挟まるのですが、大体30~40秒くらい待たされます。長いので横に置いてあるスマホに何か連絡が来てないか確認するのにはちょうどいいのですが(笑)
明らかにプレイヤーにフラストレーションを与えるような部分ではありますが、僕はこれでも良い気がしていて、下手にロード時間短縮を図ってグラフィックが落ちちゃうとこの作品の魅力まで落ちるのは当然のことなんで。
・街が少ない
これは完全に個人的な好みの問題ですし、このゲームのコンセプトからして間違った指摘なのかもしれませんが、非常に人のいる街が少ないです。都市と言える代物はカージャ族の都市、メリディアンくらいでほとんどがちょっとした集落程度なんですよね。
このことがサイドクエストが少なめであるということにも直結するのではないかなという気がします。
僕が思うオープンワールドの醍醐味は街で交流してサイドクエストをこなすことでプレイヤーの評価が変わり、コミュニティや選択肢が広がることだと思います。その結果、家を持てたりストーリーが変わったりするのも面白いですよね。
それが無いのは個人的には残念なのですが、メインはアーロイが世界の謎に迫るストーリーなのでゲリラゲームズはあくまでストーリーの本筋を辿らせることに重きを置いているのだと思います。
僕みたいなプレイヤーだと寄り道ばっかりして一向にクリア出来ないですからね(笑)
▲こんなプレイ時間なのにメインストーリーをクリアしていません(笑)PS3のfallout3やskyrimもこんな感じのプレイ時間なのですがメインストーリーをクリアしておらずベセスダ系オープンワールドは一回もクリアしたことがありません。
・選択肢の意味が薄い
ベセスダ系オープンワールドRPGなどでは選択肢によって展開が変わったり、陣営が変わったり、報酬をさらに要求出来たり会話という要素が大きいのですが、Horizonではアーロイの反応が変わるだけなので選択肢の意味が薄いなあと。もっとも、自分のような優柔不断タイプにはありがたいのですが(笑)
・まとめ
スキルツリーが洗練されていない感じや、世界観が練られているのに世界を知る手がかりであるジャーナルがフィールドにあまり配置されてないなど、細々とした気になったことはいくつかありましたが、それを補って余りあるほどのストーリー性だったり世界観を持っていると思います。
どのゲームもそうですが一作目はゲームシステムも洗練されていないものです。しかし、このゲームは高いレベルで纏まっており、狩猟システムなどは武器や属性をちょっと増やすだけで更に遊びの幅が広がると言えるでしょう。
僕が列挙した残念な点など些細な事なので、遊んでみればその魅力にすぐ取り憑かれるのではないでしょうか。
総評
既出のオープンワールドRPGと比べると「あと一歩」で凄く惜しいゲームという感じはしますが、プレイ中はそれを感じさせないほどのワクワクを感じました。
未知の集落に行ったり、風景も文化もまるで異なる地方に足を踏み入れる高揚感。かつての世界は「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のような世界だったことを想起させる人類文明の遺跡と広大な自然とをマッチさせた魅力ある世界観。機械の群れに挑み、頭と肉体を使った、まさしく死力を尽くして闘う決闘とも言える狩猟。どれをとっても宝石のように煌めく魅力に溢れたゲームなのではないでしょうか。
メインのストーリーラインも高いレベルで収まっているので、ライトにオープンワールドRPGに触れたいプレイヤーからオープンワールドRPGファンまでオススメ出来る一本だと言えます。