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【ゲーム紹介】Quantum Break(クォンタムブレイク)―TIME IS POWER 時、それはチカラ―

どうも、TRYDERです。

今回はプレイして非常に刺激的だったゲーム、Quantum Breakの紹介をします。

 

 ・Quantum Breakとは

Quantum Breakは「Max Pain」や「Alan Wake」で知られるフィンランドのRemedy Entertainmentという実力あるデベロッパーが開発したXboxONE/PC向けアクションアドベンチャーゲーム

 

ラフィックが一つの売りであり、PCの場合、非常に要求スペックが高い。

■最小動作環境

OS: Windows 10 (64-bit)
DirectX: 12
CPU: Intel Core i5-4460、2.70GHz又はAMD FX-6300
GPU: NVIDIA GeForce GTX 760 又はAMD Radeon R7 260x
VRAM: 2GB
RAM: 8GB

■推奨動作環境

OS: Windows 10 (64-bit)
DirectX: 12
CPU: Intel Core i5 4690, 3.9GHz又は同等のAMDプロセッサー
GPU: NVIDIA GeForce GTX 970又はAMD Radeon R9 390
VRAM: 4GB
RAM: 16GB

■ウルトラ設定に求められる動作環境

OS: Windows 10 (64-bit)
DirectX: 12
CPU: Intel Core i7 4790, 4GHz 又は同等のAMDプロセッサー
GPU: NVIDIA GeForce GTX 980 Ti又はAMD Radeon R9 Fury X
VRAM: 6GB
RAM: 16GB

 Gamespark記事(PC版『Quantum Break』最小動作環境はWindows 10とi5-4460から―システム要件発表 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト)より抜粋

作のストーリーについて、アニメファンがイメージしやすい俗な例えだと、アニメ的要素を排した海外ドラマ版シュタインズ・ゲートという感じ。大まかなストーリーラインを説明すると、タイムマシンの実験が失敗し、時間の断裂が発生。その際に時を操る能力を得た主人公が断裂を修復するために奔走するという流れだ。

 

のゲームは章立てになっており、一章ごとに3つのパートで構成されている。1パート目はアクションゲームパート、2つ目はストーリー分岐選択パート、3つ目は実写ドラマパートだ。

 

クションゲームパートは時間操作を駆使しながら銃を使って進んで行くTPSガンアクション。ストーリー分岐選択パートでは文字通りストーリー分岐に関わる選択肢を選ぶパートだが、「ビジョン」と呼ばれる未来視能力により選んだ選択肢が及ぼす未来への影響を知ってからプレイヤーが選択出来るのはこのゲーム最大の特徴と言えるだろう。

そして、3つ目のパートは実写ドラマパートで、莫大な予算が投じられて作られた実写ドラマになっており非常に見応えがある。平均して20分程度のドラマは凄まじく、小物から建物からカーアクションまで、正に海外ドラマレベルのクォリティに仕上がっている。

 

【1パート目―アクションゲーム】

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▲能力と銃を駆使して戦う

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▲実写ドラマパートに影響を及ぼすちょっとした要素もある。例えば、主人公の兄がここで式をちょいちょいと解けば、ドラマ内であの式は誰が解いたんだという内容のシーンが挿入される。

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▲このような世界観を知る文章/映像/音声ログが散りばめられている

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▲ゲーム内キャラクターモデルによるムービーも頻繁に挿入される

 

【2パート目―タイム分岐】 

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▲選んだ選択肢の及ぼす影響を覗くことが出来る

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▲一方はモナーク社が市民を抹殺するルート

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▲対するは市民を籠絡するPR作戦ルート

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▲世界中のプレイヤーが選んだ選択肢の割合が表示される

 

【3パート目―実写ドラマパート】

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▲選んだ選択肢に従って実写ドラマも展開される

 

 

特徴

 ――ムービーゲー? そんな中途半端な括りに入れないでくれ。Quantum Breakは究極の「シネマティックゲーム」なのだから。

Quantum BreakはAlan Wake的なゲームであると言える。ゲームの大枠として、メインストーリーやキーシーンを実写を含んだ長いムービーカットで見せてそのシーンまでに至る経緯をTPSガンアクションで描くという点は目につきやすい共通点だろう。以下では特に言及したい部分を項目分けして紹介していく。

 

世界観

イムトラベルSFという題材において世界観のディテールが貧弱で幼稚なものだと興ざめすることは必至。非常に難しいジャンルだが、Remedyはハイクオリティにこれを纏めてきた。

 

イムトラベルを実現する核となるクロノン粒子のような物語の根幹に関わる設定もよく練られており、Alan Wake同様、プレイヤーに考えさせる余地がある深い世界観が構築されている。

 

クションゲームパートではQuantum Breakの世界をより理解するためのアイテムを散りばめられており、これを探しながら敵キャラクターの人物背景を伺い知ることが出来る。

 

た、クールなのがタイムマシンやモナーク社に関する小物等のガジェット。突飛な外見ではなく、工学的なデザインであるため益々この話がリアルなもののように思わせる。世界観設定班は確実にいい仕事をしている。

 

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▲タイムマシンのコア。突飛な形状ではなくリアルと思わせる力がある

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▲小物の一つ。もちろんゲーム内のグラフィック。メタリックの表現が凄まじい

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モナーク社の特殊部隊。瞳に映る光の反射具合がリアルさを引き立たせる

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▲ゲーム内年表の一部、東日本大震災まで記されている。こういった細部の字を判別出来るレベルのグラフィック技術が世界観を深める一助となっている

グラフィック

ラフィックは大げさな話では無く、現時点における一つの完成形と言い切っても良いレベルだと感じた。実写パートとゲームパートとの融合とまでは言わないが、部分的に切り取ってみると本当に見分けがつかない。プレイ当初は実写ドラマが始まったのかゲームが始まったのか一瞬分からないという現象が起きたほどでRemedyの技術力を感じた。

 

しく後述するが、このRemedyというスタジオは技術力も去ることながら光と色を熟知している。物体に光が反射した時の照度や、 色彩が人に与える印象を上手く駆使して極めてリアリティのあるグラフィックの実現に成功している。

 

作から大幅に実写ドラマの時間を増やした本作であるが、これはRemedyにとって「実写に対して自分たちのグラフィックが遜色ないものである」という自信の表れだろう。

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▲ガラスの亀裂と飛び散る破片の一つ一つが作り込まれている

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▲木目に注目。同じ木目の床が無い

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▲髪の毛の質感も凄い。そして、そばかすまで表現。

 

【グラフィック比較】

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▲ゲーム

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▲実写

光・色

Alan Wakeではホラー的でありスリラー的な世界観を光と闇による演出、そして茫洋たる樹々が暗闇に揺れる様などのディテールで形容し難い恐怖感を巧みに表現してみせた。

 

Quantum Breakでも、表現へのこだわりは遺憾なく発揮されている。全体的に冷たい印象を抱かせる色相を使い、どこか暗い感じの場面が多い。場面のほとんどは夜であるし、真っ昼間でも光が僅かに差し込む屋内である。敵であるモナークの研究所や社内に侵入しても室内が煌々と照らされているわけではなく明暗の境を曖昧にさせた「何が行われているのか?」という好奇心を抱かせるような光や色による演出が施されていると感じた。

 

と色で雰囲気を一変させる代表的な演出は、時が止まる無時間状態だろう。ただ時間が静止するのでは無く、レンズを通して見たようなぼやけと青みがかった加工が施され、世界の異変を一見して分かるよう表現している。

 

Remedyは映像演出家スタジオなのだとつくづく感じさせる演出が非常に多いのも本作の特徴だろう。

 

 ・欠点

点は大手メディアが指摘するところに尽きると思う。翻訳が不十分であるという点と、戦闘が単調という点だ。

 

ず翻訳について。このゲームでは前述した通り、アクションゲームパートで世界観についてよく知ることが出来る音声/映像/文章ログが散りばめられている。なんと本作では、音声/映像ログが未翻訳である。世界観を重視するRemedyの作風からしても、この措置は残念でならない。

 

の件について、GameSparkが報じた物を引用したい。

開発のRemedyは、完成に差し掛かった今年の1月に、スペイン市場にてスペイン語音声が収録されず、スペイン語字幕ローカライズのみとなることを謝罪と共に発表。同社PRのThomas Puha氏は「その地域のマーケティング予算とマーケットサイズによるマイクロソフトの決断」としていることから、日本でも同様の理由だと推測されます。

Xbox One『Quantum Break』プレイレポ―高次元に融合した実写ゲームの到達点を見た | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト)より抜粋

実際、マイクロソフトの判断は正しい。国内でXboxONEが売れていないことに加えて、家庭用ゲームへの注目が薄れてきている(VRタイトルを除く)。また日本のゲーム市場はソーシャルゲームの先鋭化が顕著であるため、吹き替えの未実装や不十分な翻訳の原因は「マーケティング予算とマーケットサイズ」によるものであることは間違いないだろう。

 

かし、これによって、この物語に対する理解は余りにも乏しいものになったのは否めない。これはプレイヤー間で解釈を広げるというRemedyの思惑に反するものと言えるだろう。XboxONE独占かつPC版でも要求する動作スペックがかなり高いことから、元々プレイしているゲーマーが少ないことを差し引いても日本語の考察ページはかなり少ない印象だ。この翻訳問題に関しては日本人プレイヤーにとってかなり評価を落とす要因であると感じた。

 

に戦闘が単調という件だが、これはレベルデザインが甘く、ムービーを観るためにゲームをプレイしているという作業感が後半になるに連れて強くなる。敵を倒す手段も数種類の銃器だけだし、工夫して倒した際の達成感や爽快感は感じづらい。それについては大手メディアが主張する通りではあるが、あくまでこのゲームを「シネマティックゲーム」と割り切ってしまえば些細なことに過ぎない。このゲームはテキスト型アドベンチャーゲームの超豪華版と自分は認識している。

 

感想、まとめ

大な資金を投じて制作された本作だが、それに見合うだけのグラフィックと世界観は構築されていた。映像も美しく、ゲームの進化の極限を伺い知れるものであったが、翻訳が残念ということに加えてストーリー自体も尻切れトンボ感の残るものであった。

絶望的ではあるが続編が切望される一作であり、アドベンチャーゲームが好きな人はプレイしても損はないだろう。アクションゲームが好きな人には少々物足りないかもしれない。