真理に辿り着くのはキミだ!―PRINCIPIA: Master of Science紹介(ネタバレ注意!)
あいさつ
どうも、TRYDERです。
さて、9月に入っても暑い日々が続いていますね。
PCを冷やすためにクーラーが未だにガンガンです。
何故、この時期に暑いのか?
何故、クーラーを点けると部屋が冷えるのか?
それを解明するのはズバリ科学の力です。
若干、入り方が強引ですが、今回紹介するのは9/9に発売された「PRINCIPIA: Master of Science」です。
(追記)
とても詳しく紹介していただきました!ありがとうございます!(一部ネタバレも・・)(^^;;
— TOME@TGS2016(9-A11) (@shinhirota) 2016年9月14日
真理に辿り着くのはキミだ!―PRINCIPIA: Master of Science紹介 - TRYDERの一週一雑 https://t.co/SHtP0v1Tuh
制作者の方からツイッターで紹介頂きました! ヤッター!
ご指摘の通り、ネタバレを含んでいますので タイトルに追加しましたよー!!!
ブログも読んでます。これからもゲーム制作頑張ってください! 応援しています!
ゲーム概要
17世紀中頃のヨーロッパ。自然界を支配する法則はいまだ、神のみの知るところであった。しかし、一部の天文学者たちは天界でも地上と同じ現象が起きていることに気づき始めていた――
PRINCIPIA: Master of Science トレーラー - YouTubeより
17世紀中頃というのは、いまでこそ常識的な科学の基礎知識が爆発的に発見・発展していった「科学革命」という時期にあたります。
ゲームタイトル「PRINCIPIA」の元になった本もこの時期に書かれました。
「PRINCIPIA」という単語をググると一番上に出てくるのは「自然哲学の数学的諸原理(Philosophiæ Naturalis Principia Mathematica)」。かの万有引力の法則で有名なアイザック・ニュートンの著書です。
このゲームでは12人の科学者から1人を選んで、「最終テーマ」を解明し「近代科学の創始者」となることが最終目的です。
「自然哲学の数学的諸原理」を書き、まさしく「近代科学の創始者」とも言われるアイザック・ニュートンのような存在にプレイヤーが導いていくのです。
読書や実験、推理などをして論文の完成度を高めて学会に提出。新たな理論を見つけ、名声を高めていくことがこのゲームの主な過程となっています。
なので、学会に提出する際には科学アカデミーのメンバーと仲良くしておくことで自分の論文を受理されやすくしたり、時にはニュートンとフックの関係のように相手を批判して蹴落としていったりするのもアリ。
科学の真理に辿り着くためならば仕方のないことなのです。
プレイレポートで紹介
ゲームをプレイしてみるのが一番ですのでスクリーンショットと共に追っていきたいと思います。
チュートリアルでも説明されますが、このゲームでは理論を発見しながら論文を書き上げて名声値を上げることがゲームの基本になります。
▲ニュートンのパラメータ
選ぶのはアイザック・ニュートン。数学・力学・光学に特に秀でて多才かつ、84歳で生涯を終えるという長命のため、一番プレイしやすい科学者です。
ステップ1:論文を書く
▲研究テーマ
まず、論文を書いて名声を上げるために研究テーマを決めます。僕は光学を選択しました。研究効率を高める器具のプリズムを選んで、実験・推理をしていきます。
▲実験中…
▲新しい理論を発見!
理論を発見したら、下の発見タブが一項目有効になります。そこから理論検証をして理論の完成度を高め、論文作成をしてみましょう。
▲発見メニュー
論文を書いたらいよいよ発表。ロンドン王立協会かパリ科学アカデミーに発表します。僕はロバート・フックとの絡みを見てみたかったのでロンドン王立協会を選択。論文の審査に入ります。
▲論文評価
▲論文公開!
論文が受理された結果、名声が上がり、王立協会から資金も貰えました。名声が上がると、他の科学者から資金援助の申し出があり友好度も上がりやすいのでどんどん名声値を上げていきましょう。
ステップ2:論文不受理
初の論文が受理されてからは実験と推理の日々。そうしているとまた新たな理論を発見しました。「光の速度は無限大である」という光の性質についての理論です。
▲理論「光の速度は無限大」
当然のように、理論検証で完成度を高めて論文を書いて提出したところ、なんとロバート・フックやロバート・ボイルから「完成度が高くない」と一蹴されてしまいます。この理論は完成度が最高50までなので、元からそんなに完成度が高くなく、受理されなかったのが原因でした。
ニュートンは「落胆」状態に陥り、研究コマンドが実行できません。
そこで、金を積むことにしました。ロバート・フックとは友好度が低いので、最初は「何を考えているのか明白」だとか言われながらも資金援助を続けていたのですが、2回目以降は「感謝しか無い」とか言い出し、友好度がバンバン上がります。これでマブダチです(金)
ロバート・ボイルにも同様に金を積んでから、論文評価に臨むとあら不思議。
▲デレたフックさん
やったぜ。この時点で、フックとニュートンがマブダチというif歴史展開の優しい世界。持つべきものは金ですね。
▲ありがとう…フックさん!
挙句の果てに資金援助まで……友好度はカンストです。
ステップ3:粘着数学者ライプニッツ君と新たな発明品
その後も「光は障害物の後ろへ到達する」や「同一光源から出た光は干渉する」といった理論を発見し、ニュートンの名声とともに王立協会の権威も上がっていきます。
ヤコブ・ベルヌーイが活動を始めるなど、科学界が賑わってくる中で異変が……
▲ライプニッツの批判
突如、ライプニッツ君が謎の中傷を仕掛けてきました。
▲金で友達になったロバート・ボイルによる擁護
▲金で友達になったロバート・フックによる擁護
幸い、金でマブダチになった会員2と師匠1で構成されたロンドン王立協会にライプニッツの入り込む余地はありません。ライプニッツの批判は却下されました。
しかし、この後もずっと批判や誹謗中傷を仕掛けてきます。ニュートンは可哀想にも「無気力」状態に陥ったりしますが、それ以上の害は無く、寧ろライプニッツ君がガンガン名声を落としていき、粘着数学者としてその生涯を終えることでしょう。
本来ならこの立ち位置がフックだったのでロンドン王立協会会長になってから、ロバート・フックと険悪になって、フックの論文を批判したり誹謗中傷したり大反対したりするifプレイも面白そうですね。
▲反射式望遠鏡の試作
粘着系数学者に付きまとわれていても、ニュートンは成果をあげていきます。鏡を利用した反射式望遠鏡の開発です。
これが成功すれば天文学+7の効果が付いた器具をタダでゲット出来ます。後々に目論んでいた天文学への進出にも使えそうですね。
では、作ってみましょう。
▲失敗……
▲工作技術ステータス
あっちを押さえるとこっちが外れてという、脅威の不器用っぷり。その理由はステータス画面で分かりました。工作技術が低すぎて発明品の試作すら出来なかったのです。
▲試作成功!
ひたすら工作技術訓練を行い、70までステータスを高めました。もはや科学者なのか数学者なのか技術者なのか区別が付かなくなってきましたが、訓練のおかげで反射式望遠鏡を作ることが出来ました。
その後も、空中望遠鏡や色消しレンズ屈折式望遠鏡といった発明をしていき、光の性質のテーマを網羅しました。
ステップ4:師匠の死と光学分野の大成、王立協会への入会
ニュートンは光の性質のテーマを終え、光の正体を追求する段階に進みます。「光は波動である」「光は粒子である」「光は干渉する性質を持つ粒子である」「光は波動、それも横波である」を発見し、光の正体も研究し尽くたことで光学分野は完全にニュートン一人の手によって大成されました。
▲バロウの死
そんな中、史実でもいち早くニュートンの才能を見出し、ゲーム内でも論文評価の味方であったアイザック・バロウさんがお亡くなりになります。死に際の「あの時、確かに宇宙の真理を見出したのだ」的なセリフには心がうたれます。
今いる科学者にはこの世界がどう見えているのでしょうか。そんな気分にさせられました。
それでもニュートンの探求の旅は続いていきます。
▲王立協会へ入会
▲会長に就任
▲ライプニッツを一蹴
そろそろ良いだろうと思い、王立協会へ入会しました。すると、3ヶ月後には会長に就任します。
相も変わらず批判を繰り返すライプニッツ君ですが、王立協会の長として「では、このライプニッツ氏のご批判は不適切という判断で決定です。いいですね?(威圧)」と発言し一蹴してやりました。
しかし、会長職はデメリットも多く、フックは外に敵を作りまくるのでフックと仲良くするためにフックへの批判を一蹴すると、その批判者との友好度が下がってしまいますので八方美人プレイが難しくなり王立協会は脱退しました。
ステップ5:ゲームクリア―「プリンキピア」の執筆
▲最終テーマに入る頃のステータス
王立協会の長も務めたこのニュートンが何故か「職業:学生、収入:5」という理不尽な扱い。
(ちなみになろうと思えば他の役職にも就けます)
この頃、気がついたら最終テーマが表示されていましたので、それについて執筆していくことにしました。その最終テーマとは「地動説の完全な証明」。
神の住まう世界とされてきた天界が我々の住む地球と同じ原理で成り立っているとすれば、それは衝撃的な出来事です。
ですが、ニュートンは見事それを証明してみせます。
▲執筆完了
▲後は原稿を王立協会へ持ち込むだけ!
▲見事出版! ゲームクリアです!
こうして出版された「自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)」を以って統一理論の完成を見ます。これによってゲームクリアとなりました。
クリア時間は4時間。他の理論まで網羅するとなるともっと時間が掛かりそうです。
プリンキピアを名声「9285」でクリアした!
— 柳澤@ゲーム作るよ (@designdrill) 2016年9月12日
ニュートンって凄く長生きだったのですね#PRINCIPIA pic.twitter.com/x3EbwpLN60
この方のように、頑張ればニュートン一人でほぼ全ての理論を網羅することが可能な模様。ゲーム内リミットは史実の寿命で、特にニュートンは84歳で生涯を終えるという長命であり、各種パラメータも高いため、使っていて非常に面白い科学者です。
総論
第4回アスキー エンタテインメント ソフトウェア コンテスト 受賞作品だけあって、非常に可能性を感じる作品でした。
学究の場の権力争いをテイストとして入れたのも、当時の科学者の気分をロールプレイさせてくれる上で機能していましたし、科学史に着目した点も今までに無いアイデアで非常に面白いと思います。
また、音楽も中世っぽい優雅な曲調で良かったです。
個人制作かつ900円程度でここまでの完成度なので、僕自身はお金を払う価値はあったと思います。
しかし、まだゲームとしては荒削りな部分は多いと感じました。
個人制作なので、多くを求めるのもお門違いかもしれません。
しかし、敢えて僕が感じた改善して欲しい点について列挙していきたいと思います。
都市の役割が弱い
大学・天文台・科学アカデミーが各都市に配されていますが、これらが全て揃っている究極学術都市・パリにいればオールオッケーなので、何の施設も無い他の都市にも何らかの機能を持たせる必要があるのではないかと感じました。
中盤から作業が単調に
実験・推理・理論検証・論文作成・論文提出の繰り返しなので、途中から作業感を味わってしまうのではないかと思いました。また、友好度を高く保つ方が資金援助や論文評価の面でメリットが高く、せっかくの誹謗中傷や批判をする意味があまり無いのも勿体無いなと感じました。
ただし、この点については僕の知らない楽しみ方や活用法があるかもしれないので知っている方がおられましたら指摘していただけると幸いです。
if展開が少ない
科学史を正確に学ぶという趣旨があるのかもしれませんが、SLG(シミュレーションゲーム)でお馴染みな“後世で発見されるものを一足先に”という要素が無いのが物足りなく感じました。
ゲーム内で他の科学者の理論を先取り出来るのだから、後世の理論も先取り出来るようにするのはダメ? と思いましたが、この点に関しては賛否分かれそうですね。
この辺のif要素も取り入れれば、登場科学者を増やせそうな気がしますがいかがでしょうか?
突発イベントが科学者の死くらいしか無い
HoI(ハーツ・オブ・アイアン)などでは、史実上の事件が起きたりしますが、このゲームではそういったイベント要素が科学者の死くらいしかありません。
この要素も何かに影響するわけではなく、ただプレイヤーのタイムリミットとしての役割のみなので、SLGとしては弱く感じます(ジャンルはSLGじゃないかもしれませんが)。
例えばですが、ペスト流行イベントで故郷へ戻ったニュートンの研究効率がアップだとか、科学者の死でその分野の発展が鈍化するような要素を入れると面白いかもしれません。
終わりに
ゲーム画面を見た時に即買い決定したのですが、今改めて買ってよかったなと感じています。
このシステムで中国などの東洋版プリンキピアや、ウイルス版プリンキピア、薬学版プリンキピア、軍事科学版プリンキピアなどバリエーション豊富に作れそうなのも、このゲームのテーマが持つ可能性を示しています。
この記事を読んで面白そう! と感じて頂けたら是非、PLAYISM(プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス | インディーゲームならPLAYISM)またはSteam
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